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September 24, 2020 Vol. 383 No. 13

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進行または転移性尿路上皮癌に対するアベルマブ維持療法
Avelumab Maintenance Therapy for Advanced or Metastatic Urothelial Carcinoma

T. Powles and Others

背景

プラチナベースの化学療法は進行尿路上皮癌の標準的な一次治療である.しかし無増悪生存期間と全生存期間は,化学療法耐性によって制限される.

方 法

第 3 相試験で,切除不能な局所進行または転移性の尿路上皮癌を有し,一次化学療法(ゲムシタビンとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用を 4~6 サイクル)で病勢進行を認めなかった患者を,最善の支持療法に加えて,アベルマブによる維持療法を行う群と行わない群に無作為に割り付けた.主要評価項目は全生存期間とし,無作為化された全患者(集団全体)と,プログラム細胞死リガンド 1(PD-L1)陽性腫瘍を有する患者集団で評価した.副次的評価項目は無増悪生存期間,安全性などとした.

結 果

無作為化された 700 例全体では,最善の支持療法にアベルマブ維持療法を追加した場合に,最善の支持療法のみを行った場合(対照)と比較して全生存期間は有意に延長した.1 年全生存率はアベルマブ群で 71.3%,対照群で 58.4%であった(全生存期間中央値 21.4 ヵ月 対 14.3 ヵ月,死亡のハザード比 0.69,95%信頼区間 [CI] 0.56~0.86,P=0.001).PD-L1 陽性集団においても,アベルマブにより全生存期間は有意に延長し,1 年全生存率はアベルマブ群で 79.1%,対照群で 60.4%であった(ハザード比 0.56,95% CI 0.40~0.79,P<0.001).無増悪生存期間中央値は,集団全体ではアベルマブ群 3.7 ヵ月,対照群 2.0 ヵ月であり(病勢進行または死亡のハザード比 0.62,95% CI 0.52~0.75),PD-L1 陽性集団ではそれぞれ 5.7 ヵ月と 2.1 ヵ月であった(ハザード比 0.56,95% CI 0.43~0.73).あらゆる原因による有害事象の発現率はアベルマブ群 98.0%,対照群 77.7%であり,グレード 3 以上の有害事象の発現率はそれぞれ 47.4%と 25.2%であった.

結 論

尿路上皮癌を有し,一次化学療法で病勢進行を認めなかった患者において,アベルマブによる維持療法を最善の支持療法に追加することで,最善の支持療法単独と比較して全生存期間は有意に延長した.(ファイザー社,メルク社 [ドイツ,ダルムシュタット] から研究助成を受けた.JAVELIN Bladder 100 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02603432)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1218 - 30. )