October 1, 2020 Vol. 383 No. 14
小児のヘテロ接合性家族性高コレステロール血症に対するエボロクマブ
Evolocumab in Pediatric Heterozygous Familial Hypercholesterolemia
R.D. Santos and Others
前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型に対する完全ヒトモノクローナル抗体であるエボロクマブは,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を低下させる目的で,成人に広く用いられている.ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症の小児に対する効果は明らかにされていない.
ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症の小児患者を対象に,エボロクマブの有効性と安全性を評価する 24 週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.スクリーニング前に安定した脂質低下療法を少なくとも 4 週間受けている,LDL コレステロール値 130 mg/dL(3.4 mmol/L)以上,トリグリセリド値 400 mg/dL(4.5 mmol/L)以下の 10~17 歳の患児を,エボロクマブ(420 mg)の皮下注射を月 1 回受ける群とプラセボの投与を受ける群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,24 週の時点での LDL コレステロール値のベースラインからの変化量(%)とした.重要な副次的エンドポイントは,22 週と 24 週の時点での LDL コレステロール値のベースラインからの平均変化量(%)と,24 週の時点での LDL コレステロール値のベースラインからの絶対値の変化とした.
157 例が無作為化され,エボロクマブ(104 例)またはプラセボ(53 例)の投与を受けた.24 週の時点での LDL コレステロール値のベースラインからの平均変化量は,エボロクマブ群で -44.5%,プラセボ群で -6.2%であり,差は -38.3 パーセントポイントであった(P<0.001).LDL コレステロール値の絶対値の変化は,エボロクマブ群で -77.5 mg/dL(-2.0 mmol/L),プラセボ群で -9.0 mg/dL(-0.2 mmol/L)であり,差は -68.6 mg/dL(-1.8 mmol/L)であった(P<0.001).副次的エンドポイントである脂質項目の結果は,すべてエボロクマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に良好であった.治療期間中の有害事象の発現率は,エボロクマブ群とプラセボ群で同程度であった.
家族性高コレステロール血症の小児を対象としたこの試験で,エボロクマブは,LDL コレステロール値とその他の脂質項目の値を低下させた.(アムジェン社から研究助成を受けた.HAUSER-RCT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02392559)