The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

October 8, 2020 Vol. 383 No. 15

心不全に対するエンパグリフロジン投与の心血管転帰と腎転帰
Cardiovascular and Renal Outcomes with Empagliflozin in Heart Failure

M. Packer and Others

背景

ナトリウム–グルコース共輸送体 2(SGLT2)阻害薬は,糖尿病の有無にかかわらず,心不全による入院のリスクを低減させる.駆出率が著明に低下した心不全患者を含む,幅広い心不全患者に対する SGLT2 阻害薬の効果に関して,さらに多くのエビデンスが必要である.

方 法

二重盲検試験で,クラス II~IV の心不全を有する,駆出率が 40%以下の患者 3,730 例を,推奨治療に加えて,エンパグリフロジン(10 mg を 1 日 1 回)を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,心血管死または心不全の悪化による入院の複合とした.

結 果

追跡期間中央値 16 ヵ月間で,主要転帰のイベントは,エンパグリフロジン群 1,863 例中 361 例(19.4%)とプラセボ群 1,867 例中 462 例(24.7%)に発生した(心血管死または心不全による入院のハザード比 0.75,95%信頼区間 [CI] 0.65~0.86,P<0.001).主要転帰に対するエンパグリフロジンの効果は,糖尿病の有無にかかわらず一貫していた.心不全による入院の総数は,エンパグリフロジン群のほうがプラセボ群よりも少なかった(ハザード比 0.70,95% CI 0.58~0.85,P<0.001).推算糸球体濾過量の年間低下率は,エンパグリフロジン群のほうがプラセボ群よりも遅く(-0.55 mL/分/1.73 m2 体表面積/年 対 -2.28 mL/分/1.73 m2/年,P<0.001),重篤な腎転帰のリスクは,エンパグリフロジンの投与を受けた患者のほうが低かった.単純性性器感染症の報告はエンパグリフロジン群のほうが多かった.

結 論

心不全に対して推奨治療を受けている患者における心血管死または心不全による入院のリスクは,糖尿病の有無にかかわらず,エンパグリフロジン群のほうがプラセボ群よりも低かった.(ベーリンガーインゲルハイム社,イーライリリー社から研究助成を受けた.EMPEROR-Reduced 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03057977)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1413 - 24. )