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October 22, 2020 Vol. 383 No. 17

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中東呼吸器症候群に対するインターフェロン β-1b とロピナビル・リトナビル
Interferon Beta-1b and Lopinavir–Ritonavir for Middle East Respiratory Syndrome

Y.M. Arabi and Others

背景

遺伝子組換えインターフェロン β-1b とロピナビル・リトナビルの併用療法により,中東呼吸器症候群(MERS)で入院した患者の死亡率が低下するかどうかは明らかにされていない.

方 法

サウジアラビアの 9 施設で患者を登録し,適応的デザインの無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.検査で MERS の診断が確定し入院した成人を,遺伝子組換えインターフェロン β-1b+ロピナビル・リトナビルを 14 日間投与する(介入)群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は 90 日全死因死亡率とし,片側 P 値の閾値を 0.025 とした.事前に規定したサブグループ解析と安全性解析を行った.新型コロナウイルス感染症のパンデミックのため,データ安全性モニタリング委員会は予定外の中間解析の実施を求め,その後,登録の中止と結果の報告を勧告した.

結 果

95 例を登録し,43 例が介入群,52 例がプラセボ群に割り付けられた.介入群の 12 例(28%)とプラセボ群の 23 例(44%)が 90 日目までに死亡した.適応的デザインを考慮して行われた主要評価項目の解析では,リスク差は -19 パーセントポイント(97.5%信頼区間 [CI] の上限 -3,片側 P=0.024)であった.事前に規定したサブグループ解析によると,発症後 7 日以内の投与では,介入群の 90 日死亡率がプラセボ群よりも低くなったが(相対リスク 0.19,95% CI 0.05~0.75),8 日以降の投与では低くならなかった.重篤な有害事象が介入群の 4 例(9%)とプラセボ群の 10 例(19%)に発現した.

結 論

検査で MERS の診断が確定し入院した患者では,遺伝子組換えインターフェロン β-1b とロピナビル・リトナビルを併用した場合,プラセボよりも死亡率が低くなった.効果は発症後 7 日以内に投与を開始した場合にもっとも大きかった.(アブドゥラー王立国際医療研究センターから研究助成を受けた.MIRACLE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02845843)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1645 - 56. )