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October 29, 2020 Vol. 383 No. 18

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超高齢心房細動患者に対する低用量エドキサバン
Low-Dose Edoxaban in Very Elderly Patients with Atrial Fibrillation

K. Okumura and Others

背景

超高齢心房細動患者における脳卒中予防のための適当な経口抗凝固療法の実施は,出血の懸念から,困難な課題となっている.

方 法

非弁膜症性心房細動を有し,脳卒中予防に承認されている用量での経口抗凝固療法が適当ではないと判断された超高齢(80 歳以上)の日本人患者を対象に,エドキサバン 15 mg の 1 日 1 回投与とプラセボ投与とを比較する第 3 相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照イベント主導型試験を行った.主要有効性評価項目は脳卒中または全身性塞栓症の複合とし,主要安全性評価項目は国際血栓止血学会(ISTH)の定義による大出血とした.

結 果

984 例が,エドキサバン 15 mg/日の投与を受ける群(492 例)とプラセボ投与を受ける群(492 例)に 1:1 の割合で無作為に割り付けられた.681 例が試験を完了し,303 例が中止した(同意の撤回 158 例,死亡 135 例,その他の理由 10 例).試験を中止した患者数は 2 群で同程度であった.脳卒中または全身性塞栓症の年間発生率はエドキサバン群 2.3%,プラセボ群 6.7%であり(ハザード比 0.34,95%信頼区間 [CI] 0.19~0.61,P<0.001),大出血の年間発生率はエドキサバン群 3.3%,プラセボ群 1.8%であった(ハザード比 1.87,95%CI 0.90~3.89,P=0.09).消化管出血のイベント発生数はエドキサバン群のほうがプラセボ群よりもかなり多かった.全死因死亡に大きな群間差はなかった(エドキサバン群 9.9%とプラセボ群 10.2%,ハザード比 0.97,95% CI 0.69~1.36).

結 論

標準用量の経口抗凝固薬が適当ではない超高齢日本人の非弁膜症性心房細動患者において,エドキサバン 15 mg の 1 日 1 回投与は,脳卒中または全身性塞栓症の予防においてプラセボよりも優れており,大出血の発生率がプラセボより有意に高くなることはなかった.(第一三共社から研究助成を受けた.ELDERCARE-AF 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02801669)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1735 - 45. )