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October 29, 2020 Vol. 383 No. 18

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非免疫性胎児水腫の出生前診断におけるエクソームシーケンシング
Exome Sequencing for Prenatal Diagnosis in Nonimmune Hydrops Fetalis

T.N. Sparks and Others

背景

大部分の胎児異常の原因は,出生前に発見されることはない.エクソームシーケンシングは出生後の遺伝子診断を一変させたが,出生前診断における有用性はまだ明らかになり始めた段階である.非免疫性胎児水腫(NIHF)は,致死的経過をたどることの多い胎児異常であるが,遺伝的原因が多数ある.その診断にエクソームシーケンシングがどの程度役立つかは明らかにされていない.

方 法

原因不明の NIHF の連続した 127 例のケースシリーズを評価した.NIHF は,胎児の腹水,胸水,心囊液貯留,皮下浮腫,囊胞性リンパ管腫,後頸部浮腫,またはこれらの組合せの存在によって定義される.主要評価項目は,米国臨床遺伝・ゲノム学会の基準で「病原性」または「病原性の可能性が高い」に分類された遺伝子変異体の検出におけるエクソームシーケンシングの診断率とした.副次的評価項目は,特定の遺伝性疾患と関連する症例の割合と,遺伝した変異体の割合とした.

結 果

127 例中 37 例(29%)で,次の疾患の診断に有用な遺伝子を同定した:RAS–MAPK 細胞内シグナル伝達経路に影響を及ぼす疾患(RAS 病として知られる)(この遺伝子診断における割合は 30%),先天性代謝異常,筋骨格系疾患(それぞれ 11%),リンパ管疾患,神経発達障害,心血管疾患,血液疾患(それぞれ 8%),その他.予後の範囲は,比較的軽度な転帰から周産期死亡まであった.全体で,診断に有用な変異体を有する症例の 68%(37 例中 25 例)は常染色体優性(12%は遺伝した変異体,88%は新規変異体),27%(37 例中 10 例)は常染色体劣性(95%は遺伝した変異体,5%は新規変異体)であり,1 例は遺伝した X 連鎖劣性,1 例は遺伝不明であった.さらに 12 例で,診断に有用な可能性のある変異体を同定した.

結 論

原因不明の NIHF の胎児 127 例の大規模なケースシリーズで,約 1/3 に診断に有用な遺伝子変異体を同定した.(カリフォルニア大学サンフランシスコ校 母体胎児精密医療センターほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03412760)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1746 - 56. )