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November 5, 2020 Vol. 383 No. 19

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慢性冠動脈疾患患者に対するコルヒチン
Colchicine in Patients with Chronic Coronary Disease

S.M. Nidorf and Others

背景

最近の試験から,コルヒチンの抗炎症作用は,心筋梗塞を発症してまもない患者で心血管イベントのリスクを低減させることが示されているが,慢性冠動脈疾患患者でのリスクを低減させるかどうかに関するエビデンスは限られている.

方 法

無作為化対照二重盲検試験で,慢性冠動脈疾患患者を,コルヒチン 0.5 mg を 1 日 1 回投与する群とマッチさせたプラセボを投与する群に割り付けた.主要エンドポイントは,心血管死,自然発症(手技に起因しない)の心筋梗塞,脳梗塞,虚血による冠動脈血行再建術の複合とした.重要な副次的エンドポイントは,心血管死,自然発症の心筋梗塞,脳梗塞の複合とした.

結 果

5,522 例が無作為化され,2,762 例がコルヒチン群,2,760 例がプラセボ群に割り付けられた.追跡期間中央値は 28.6 ヵ月であった.主要エンドポイントのイベントは,コルヒチン群の 187 例(6.8%)とプラセボ群の 264 例(9.6%)に発生した(発生率:100 人年あたり 2.5 件 対 3.6 件,ハザード比 0.69,95%信頼区間 [CI] 0.57~0.83,P<0.001).重要な副次的エンドポイントのイベントは,コルヒチン群の 115 例(4.2%)とプラセボ群の 157 例(5.7%)に発生した(発生率:100 人年あたり 1.5 件 対 2.1 件,ハザード比 0.72,95% CI 0.57~0.92,P=0.007).自然発症の心筋梗塞または虚血による冠動脈血行再建術の発生率(複合エンドポイント),心血管死または自然発症の心筋梗塞の発生率(複合エンドポイント),虚血による冠動脈血行再建術の発生率,自然発症の心筋梗塞の発生率もコルヒチン群のほうがプラセボ群よりも有意に低かった.心血管系以外の原因による死亡の発生率はコルヒチン群のほうがプラセボ群よりも高かった(発生率:100 人年あたり 0.7 件 対 0.5 件,ハザード比 1.51,95% CI 0.99~2.31).

結 論

慢性冠動脈疾患患者を対象とした無作為化試験で,コルヒチン 0.5 mg の 1 日 1 回の投与を受けた患者は,プラセボの投与を受けた患者よりも心血管イベントのリスクが有意に低かった.(オーストラリア国立保健医療研究評議会ほかから研究助成を受けた.LoDoCo2 試験:Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12614000093684)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1838 - 47. )