The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 12, 2020 Vol. 383 No. 20

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

インドにおけるロタウイルスワクチン導入後の腸重積
Intussusception after Rotavirus Vaccine Introduction in India

S.N. Reddy and Others

背景

インドでは,3 回経口接種するロタウイルスワクチン(Rotavac)が 2016 年に全国予防接種プログラムに組み込まれた.乳児 6,799 例を対象とした承認前試験は,腸重積リスクの小さな上昇を検出するには規模が十分ではなかった.腸重積リスクが他の国で使用されている別のロタウイルスワクチンで認められるリスクと同程度であるかどうかを評価するのに,市販後調査データが有用であると考えられる.

方 法

インドの 27 の病院で,多施設共同の病院規模での能動的サーベイランス研究を行った.ブライトン分類レベル 1,すなわち腸重積が放射線学的または外科的に確認されている乳児を登録し,ロタウイルスワクチンの接種を予防接種記録を用いて確認した.生後 28~365 日の乳児におけるワクチン接種後 1~7 日,8~21 日,1~21 日のリスク期間の腸重積の相対的発生率(リスク期間の発生率 対 それ以外の期間の発生率)を,自己対照ケースシリーズ解析で評価した.患児のサブグループで,年齢,性,居住地をマッチさせた症例対照解析を行った.

結 果

2016 年 4 月~2019 年 6 月に,腸重積の乳児 970 例が登録され,生後 28~365 日であった 589 例が自己対照ケースシリーズ解析に組み入れられた.1 回目の接種後の腸重積の相対的発生率は,1~7 日のリスク期間が 0.83(95%信頼区間 [CI] 0.00~3.00),8~21 日のリスク期間が 0.35(95% CI 0.00~1.09)であった.同様の結果が,2 回目の接種後(相対的発生率: 1~7 日が 0.86 [95% CI 0.20~2.15],8~21 日が 1.23 [95% CI 0.60~2.10])と 3 回目の接種後(相対的発生率:1~7 日が 1.65 [95% CI 0.82~2.64],8~21 日が 1.08 [95% CI 0.69~1.73])にも観察された.症例対照解析で腸重積リスクの上昇は認められなかった.

結 論

われわれが評価したインド製のロタウイルスワクチンは,インドの乳児の腸重積とは関連していなかった.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1932 - 40. )