November 26, 2020 Vol. 383 No. 22
女性医師と学術的医学における昇進
Women Physicians and Promotion in Academic Medicine
K.P. Richter and Others
2000 年の画期的な研究で,1979~97 年に米国の医学部を卒業した女性は,同じ状況の男性と比較して大学病院でより上位の職位に昇進する確率が低いことを示した.このような差が持続しているかどうかは明らかではない.
米国医科大学協会(AAMC)の 1979~2013 年の医学部卒業生全員のデータと,2018 年までの教員データを統合し,卒業年度の女性比率に基づき昇進が期待される女性の割合と,実際に昇進した女性の割合とを比較した.Kaplan–Meier 曲線を求め,調整 Cox 比例ハザードモデルを用いて初期コホート(1979~97 年)と後期コホート(1998~2013 年)の差を検討した.
サンプルは米国の 134 の医学部の卒業生 559,098 人であった.コホートの大部分で,准教授(associate professor)または教授(full professor)に昇進した,あるいは学科長に任命された女性は期待値よりも少なかった.結果は基礎科学系学科と臨床系学科を通じて同様であった.すべてのコホートを含む解析では,卒業年度,人種・民族,学科別で補正すると,女性の助教(assistant professor)は,男性の助教よりも准教授に昇進する割合が低かった(ハザード比 0.76,95%信頼区間 [CI] 0.74~0.78).教授への昇進(ハザード比 0.77,95% CI 0.74~0.81)と,学科長への任命(ハザード比 0.46,95% CI 0.39~0.54)に関しても同様の性差がみられた.昇進や任命におけるこのような性差は,経時的に縮小することはなく,後期コホートのほうが前期コホートよりも差が小さいということはなかった.教授への昇進に関しては,むしろ後期コホートのほうが性差が大きかった.
35 年間で,大学病院の女性医師は,准教授または教授に昇進するか,学科長に任命される確率が男性よりも低く,その差は経時的に明白に縮小することはなかった.(カンザス大学病院ジョイ・マッキャン医学女性教授職賞,米国大学女性協会から研究助成を受けた.)