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November 26, 2020 Vol. 383 No. 22

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新生児蘇生におけるラリンジアルマスクの無作為化試験
A Randomized Trial of Laryngeal Mask Airway in Neonatal Resuscitation

N.J. Pejovic and Others

背景

フェイスマスク換気は,出生時仮死にもっともよく用いられる蘇生法である.カフなしのラリンジアルマスク(LMA)による換気は,低所得国での新生児蘇生においてフェイスマスク換気を上回る利益をもたらす可能性があるが,LMA の使用により,仮死新生児の死亡率と障害発生率が低下するかどうかは明らかにされていない.

方 法

ウガンダにおける第 3 相非盲検優越性試験で,陽圧換気を要する新生児を,助産師により LMA 換気が行われる群とフェイスマスク換気が行われる群に無作為に割り付けた.新生児は全員,推定在胎期間 34 週以上または推定出生時体重 2,000 g 以上,あるいはその両方であった.主要転帰は 7 日以内の死亡,または入院 1~5 日目の中等症~重症の低酸素性虚血性脳症による新生児集中治療室(NICU)入室の複合とした.

結 果

新生児の 99.2%で完全な追跡データを入手しえた.主要転帰イベントは LMA 群の 563 例中 154 例(27.4%)と,フェイスマスク群の 591 例中 144 例(24.4%)に発生した(補正後の相対リスク 1.16,95%信頼区間 [CI] 0.90~1.51,P=0.26).7 日以内の死亡は LMA 群の新生児の 21.7%と,フェイスマスク群の新生児の 18.4%で発生し(補正後の相対リスク 1.21,95% CI 0.90~1.63),入院 1~5 日目の中等症~重症の低酸素性虚血性脳症による NICU 入室は,それぞれ 11.2%と 10.1%で発生した(補正後の相対リスク 1.27,95% CI 0.84~1.93).感度分析では欠測データのある新生児を LMA 群では主要転帰イベントが発生したとみなし,フェイスマスク群では発生しなかったとみなしたが,結果に実質的な変化はなかった.あらかじめ規定した介入に関連する有害事象の発現頻度は,2 群で同程度であった.

結 論

仮死新生児において,LMA は助産師により安全に管理されたが,早期新生児死亡と中等症~重症の低酸素性虚血性脳症に関して,フェイスマスク換気よりも優れてはいなかった.(ノルウェー研究評議会,母子保健介入科学センターから研究助成を受けた.NeoSupra 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03133572)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 2138 - 47. )