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December 3, 2020 Vol. 383 No. 23

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2 型糖尿病患者における慢性腎臓病の転帰に対するフィネレノンの効果
Effect of Finerenone on Chronic Kidney Disease Outcomes in Type 2 Diabetes

G.L. Bakris and Others

背景

非ステロイド性選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるフィネレノン(finerenone)は,慢性腎臓病(CKD)と 2 型糖尿病を有する患者を対象とした短期の試験でアルブミン尿を減少させた.しかし,腎臓に対する長期的な影響と心血管転帰は明らかにされていない.

方 法

二重盲検試験で,CKD と 2 型糖尿病を有する患者 5,734 例を,フィネレノンを投与する群とプラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.尿中アルブミン/クレアチニン比(mg/g クレアチニン)が 30 以上 300 未満,推算糸球体濾過量(eGFR)25 mL 以上 60 mL 未満/分/1.73 m2 体表面積で,糖尿病網膜症を有する患者,または,尿中アルブミン/クレアチニン比が 300~5,000 で, eGFR が 25 mL 以上 75 mL 未満/分/1.73 m2 の患者を適格とした.全例にレニン–アンジオテンシン系阻害薬による治療を行い,その用量は無作為化の前に,製薬会社の添付文書記載の,忍容できない副作用を引き起こさない最大用量に調節された.主要複合転帰は,腎不全,eGFR のベースラインから 40%以上の持続的な減少,腎臓が原因の死亡とし,生存時間(time-to-event)解析で評価した.重要な副次的複合転帰は,心血管系が原因の死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心不全による入院とし,同様に生存時間解析で評価した.

結 果

中央値 2.6 年の追跡期間中に,主要転帰イベントは,フィネレノン群 2,833 例中 504 例(17.8%)とプラセボ群 2,841 例中 600 例(21.1%)に発生した(ハザード比 0.82,95%信頼区間 [CI] 0.73~0.93,P=0.001).重要な副次的転帰イベントは,それぞれ 367 例(13.0%)と 420 例(14.8%)に発生した(ハザード比 0.86,95% CI 0.75~0.99,P=0.03).全体で,有害事象の頻度は 2 群で同程度であった.高カリウム血症に関連する試験レジメン中止率は,フィネレノンのほうがプラセボよりも高かった(それぞれ 2.3%と 0.9%).

結 論

CKD と 2 型糖尿病を有する患者では,フィネレノンによる治療により,CKD の進行と心血管イベントのリスクがプラセボよりも低下した.(バイエル社から研究助成を受けた.FIDELIODKD 試験: ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02540993)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 2219 - 29. )