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December 10, 2020 Vol. 383 No. 24

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転移性去勢抵抗性前立腺癌に対するオラパリブによる生存期間
Survival with Olaparib in Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer

M. Hussain and Others

背景

われわれは以前に,特定の相同組換え修復遺伝子変異を有し,次世代ホルモン療法薬による前治療中に病勢進行が認められた転移性去勢抵抗性前立腺癌の男性にオラパリブを投与した場合に,医師の選択でエンザルタミドまたはアビラテロンを投与した場合と比較して,画像に基づく無増悪生存期間が有意に延長することを報告した.全生存期間の最終解析の結果はまだ報告していない.

方 法

非盲検第 3 相試験で,患者を,オラパリブを投与する群(256 例)と,対照治療として医師の選択でエンザルタミド,またはアビラテロン+プレドニゾン(prednisone)を投与する群(131 例)に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.BRCA1BRCA2ATM に少なくとも 1 つの変異を有する 245 例をコホート A,その他の事前に指定した 12 遺伝子のいずれかに少なくとも 1 つの変異を有する 142 例をコホート B とした.画像に基づく病勢進行が認められた患者で,特定の基準を満たす場合はオラパリブへのクロスオーバーを許可した.重要な副次的エンドポイントの 1 つである,コホート A の全生存期間は,データ成熟度が約 60%の時点で,有意水準αを調整した層別 log-rank 検定を用いて解析した.主要エンドポイントとその他の重要な副次的エンドポイントについてはすでに報告している.

結 果

全生存期間の中央値は,コホート A ではオラパリブ群 19.1 ヵ月,対照治療群 14.7 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.69,95%信頼区間 [CI] 0.50~0.97,P=0.02).コホート B では,オラパリブ群 14.1 ヵ月,対照治療群 11.5 ヵ月であった.集団全体(コホート A と B)では,オラパリブ群 17.3 ヵ月,対照治療群 14.0 ヵ月であった.全体で,対照治療群の 131 例中 86 例(66%)がオラパリブ投与にクロスオーバーした(コホート A では 83 例中 56 例 [67%]).オラパリブへのクロスオーバーで補正した感度分析によると,死亡のハザード比はコホート A で 0.42(95% CI 0.19~0.91),コホート B で 0.83(95% CI 0.11~5.98),集団全体で 0.55(95% CI 0.29~1.06)であった.

結 論

BRCA1BRCA2ATM に少なくとも 1 つの変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺癌を有し,次世代ホルモン療法薬による前治療中に病勢が進行した男性のうち,オラパリブを投与する群に最初に割り付けられた患者は,対照治療からオラパリブへのクロスオーバーが多数あったにもかかわらず,対照治療としたエンザルタミド,またはアビラテロン+プレドニゾンを投与する群に割り付けられた患者よりも全生存期間が有意に長かった.(アストラゼネカ社,メルク シャープ&ドーム社から研究助成を受けた.PROfound 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02987543)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 2345 - 57. )