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December 24, 2020 Vol. 383 No. 26

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資源の乏しい国における早期早産に対する出産前のデキサメタゾン
Antenatal Dexamethasone for Early Preterm Birth in Low-Resource Countries

The WHO ACTION Trials Collaborators

背景

資源の乏しい国における,早産リスクのある女性に対する出産前のグルココルチコイド投与の安全性と有効性は明らかにされていない.

方 法

早産リスクのある妊娠 26 週 0 日~33 週 6 日の女性を対象として多国間無作為化試験を行った.参加者を,デキサメタゾンの筋肉内投与と,外観上識別不能なプラセボの投与に割り付けた.主要転帰は,新生児死亡のみ,死産または新生児死亡,母体の細菌感染の可能性例とした.新生児死亡のみ,および死産または新生児死亡は優越性解析で評価し,母体の細菌感染の可能性例は非劣性解析で評価し,非劣性マージンは相対尺度で 1.25 と事前に規定した.

結 果

バングラデシュ,インド,ケニア,ナイジェリア,パキスタンの 29 の二次・三次病院で女性 2,852 例(とその胎児 3,070 例)が無作為化された.2 回目の中間解析の時点で利益が認められたため試験は中止された.新生児死亡は,デキサメタゾン群の出生児 1,417 例中 278 例(19.6%)とプラセボ群の出生児 1,406 例中 331 例(23.5%)に発生した(相対リスク 0.84,95%信頼区間 [CI] 0.72~0.97,P=0.03).死産または新生児死亡は,それぞれ胎児・出生児 1,532 例中 393 例(25.7%)と,1,519 例中 444 例(29.2%)に発生した(相対リスク 0.88,95% CI 0.78~0.99,P=0.04).母体の細菌感染の可能性例の発生率は,それぞれ 4.8%と 6.3%であった(相対リスク 0.76,95% CI 0.56~1.03).有害事象の発現率に群間で有意差は認められなかった.

結 論

資源の乏しい国の早期早産リスクのある女性にデキサメタゾンを使用した場合,プラセボを使用した場合と比較して新生児死亡のリスク,および死産または新生児死亡のリスクが有意に低下し,母体の細菌感染の可能性は上昇しなかった.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団,世界保健機関から研究助成を受けた.Australian and New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12617000476336,Clinical Trials Registry–India 番号 CTRI/2017/04/008326)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 2514 - 25. )