The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

July 23, 2020 Vol. 383 No. 4

腸疾患を有する発育不全・低栄養の小児における十二指腸の微生物叢
Duodenal Microbiota in Stunted Undernourished Children with Enteropathy

R.Y. Chen and Others

背景

環境腸管機能障害(EED)は,小児期の低栄養に関与すると推定される謎の小腸疾患であり,差し迫ったグローバルヘルス問題である.小腸粘膜と微生物群集(微生物叢)を直接採取することは困難であるため,この疾患の発生率,病態生理学的特徴,低身長・体重増加不良への寄与を明らかにできずにいる.

方 法

この研究では,バングラデシュ・ダッカの都市部のスラムに居住し,栄養介入による利益が得られていない低身長の幼児 110 例(平均月齢 18 ヵ月)のうち,生検で EED が確認され,血漿と十二指腸の検体が得られた 80 例に内視鏡検査を行った.これらの幼児から得た血漿中の 4,077 種類の蛋白と十二指腸生検検体中の 2,619 種類の蛋白を定量した.各児の十二指腸吸引物から回収した微生物叢に含まれる菌株の量を,培養に依存しない手法を用いて決定した.さらに,同じ地域に居住する,年齢をマッチさせた健康な幼児から 21 の血漿検体と 27 の便検体を採取した.バングラデシュ食を与えた無菌幼若マウスに,幼児の十二指腸吸引物から培養した菌株を定着させた.

結 果

幼児から得た菌株のうち,共通する 14 の細菌分類群(通常,腸管病原体には分類されない)の絶対値は,身長の伸びと負の相関を示し(年齢に対する身長の z スコア:r=-0.49,P=0.003),免疫炎症反応に関与する十二指腸の蛋白と正の相関を示した.糞便微生物叢中に含まれるこれらの 14 の十二指腸細菌分類群の組成は,健康な幼児から得た検体の組成と大きく異なっていた(置換分散多変量解析 [PERMANOVA] で P<0.001).EED を有する児の十二指腸培養株を定着させたノトバイオートマウスでは,小腸に疾患が発生した.

結 論

これらの結果は,発育障害と小腸微生物叢の構成および腸疾患との因果関係を支持し,これらの微生物の EED への関与を標的とする治療法を開発するための合理的根拠を提供している.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02812615)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 321 - 33. )