結核感染および結核症予防のためのビタミン D サプリメント
Vitamin D Supplements for Prevention of Tuberculosis Infection and Disease
D. Ganmaa and Others
ビタミン D 代謝物は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に対する自然免疫応答を補助している.結核感染予防を目的としたビタミン D 補充の第 3 相無作為化比較試験のデータは不足している.
QuantiFERON-TB Gold In-tube アッセイ(QFT)で結核菌が陰性であった小児を,ビタミン D3 14,000 IU を週 1 回 3 年間経口摂取する群とプラセボを摂取する群に無作為に割り付けた.主要転帰は追跡 3 年の時点での QFT 陽性とし,陽性者の割合で表した.副次的転帰は,試験終了時の血清 25-ヒドロキシビタミン D(25 [OH] D)濃度,結核症,急性呼吸器感染症,有害事象の発生率などとした.
8,851 例が無作為化され,4,418 例がビタミン D 群,4,433 例がプラセボ群に割り付けられた.小児の 95.6%はベースラインの血清 25(OH)D 濃度が 20 ng/mL 未満であった.試験終了時に,QFT で妥当な結果が得られた小児のうち陽性であった割合は,ビタミン D 群で 3.6%(4,074 例中 147 例),プラセボ群で 3.3%(4,043 例中 134 例)であった(補正リスク比 1.10,95%信頼区間 [CI] 0.87~1.38,P=0.42).試験終了時の 25(OH)D 濃度の平均値はビタミン D 群で 31.0 ng/mL,プラセボ群で 10.7 ng/mL であった(平均値の群間差 20.3 ng/mL,95% CI 19.9~20.6).結核症はビタミン D 群の 21 例とプラセボ群の 25 例で診断された(補正リスク比 0.87,95% CI 0.49~1.55).ビタミン D 群の 29 例とプラセボ群の 34 例が急性呼吸器感染症の治療のため入院した(補正リスク比 0.86,95% CI 0.52~1.40).有害事象の発現率に 2 群間で有意差は認められなかった.
モンゴルのビタミン D 欠乏状態の学齢児において,ビタミン D の摂取は,プラセボと比較して結核感染,結核症,急性呼吸器感染症のリスクを低下させなかった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02276755)