早産児におけるアプガースコアと新生児死亡のリスク
Apgar Score and Risk of Neonatal Death among Preterm Infants
S. Cnattingius, S. Johansson, and N. Razaz
在胎期間は,早産児における新生児死亡(生後 28 日以内の死亡)の主な決定因子である.在胎期間とアプガースコアの組合せによる新生児死亡リスクへの影響は明らかにされていない.
スウェーデンの医療出生登録のデータを用いて,1992~2016 年に出生した早産児(在胎 22 週 0 日~36 週 6 日)113,300 例を同定した.在胎期間(在胎 22~24 週,25~27 週,28~31 週,32~34 週,35~36 週)で層別化した解析で,新生児死亡の補正後の相対リスクと,新生児死亡率の絶対値の差(出生 100 例あたりの新生児の超過死亡数)を,出生 5 分後と 10 分後のアプガースコアと,5 分後から 10 分後までのアプガースコアの変化に基づいて推定した.スコアは 0~10 で,高いほど新生児の身体状態が良好であることを示す.
1,986 件(1.8%)の新生児死亡があった.新生児死亡の発生率は 0.2%(在胎 36 週)~76.5%(在胎 22 週)の範囲であった.在胎期間のすべての層において,アプガースコアが低いことは,新生児死亡の相対リスクが高いことと,新生児死亡率の絶対値の差が大きいことに関連していた.たとえば在胎 28~31 週に出生した児では,5 分後のアプガースコアに基づく補正後の絶対値の差は,スコア 9~10 の児を参照群とすると,スコア 0~1 で 51.7(95%信頼区間 [CI] 38.1~65.4),2~3 で 25.5(95% CI 18.3~32.8),4~6 で 7.1(95% CI 5.1~9.1),7~8 で 1.2(95% CI 0.5~1.9)であった.5 分後から 10 分後までにアプガースコアが上昇した場合,スコアに変化がない場合と比較して新生児死亡率がより低いことに関連していた.
この研究では,出生 5 分後と 10 分後のアプガースコアから,在胎期間のすべての層の早産児で新生児の生存に関する予後情報が得られた.(スウェーデン保健労働生活福祉研究評議会,カロリンスカ研究所から研究助成を受けた.)