中等症~最重症の COPD に対する 2 用量のステロイドによる 3 剤併用吸入療法
Triple Inhaled Therapy at Two Glucocorticoid Doses in Moderate-to-Very-Severe COPD
K.F. Rabe and Others
慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する吸入ステロイド,長時間作用性抗コリン薬(LAMA),長時間作用性β2 刺激薬(LABA)の 3 剤による固定用量レジメンは,吸入ステロイドは 1 用量で検討されているが,2 用量では検討されていない.
中等症~最重症の COPD を有し,過去 1 年間に増悪が 1 回以上あった患者を対象に,2 用量の吸入ステロイドで 3 剤併用療法の有効性と安全性を評価する 52 週間の第 3 相無作為化試験を行った.患者を,1 日 2 回吸入の 3 剤併用療法の 2 群(吸入ステロイド [ブデソニド 320μg または 160μg],LAMA [グリコピロニウム 18μg],LABA [ホルモテロール 9.6μg])と,2 剤併用療法の 2 群(グリコピロニウム 18μg+ホルモテロール 9.6μg,またはブデソニド 320μg+ホルモテロール 9.6μg)に 1:1:1:1 の割合で割り付けた.主要評価項目は,中等度または重度の COPD 増悪の年間発生率(1 年間の 1 例あたりの平均回数の推定)とし,投与中のデータのみを用いた修正 intention-to-treat 集団で解析した.
修正 intention-to-treat 集団は 8,509 例であった.中等度または重度の増悪の年間発生率は,ブデソニド 320μg による 3 剤併用療法群(2,137 例)で 1.08,ブデソニド 160μg による 3 剤併用療法群(2,121 例)で 1.07,グリコピロニウム+ホルモテロール群(2,120 例)で 1.42,ブデソニド+ホルモテロール群(2,131 例)で 1.24 であった.ブデソニド 320μg による 3 剤併用療法群は,発生率がグリコピロニウム+ホルモテロール群よりも有意に低く(24%低下,率比 0.76,95%信頼区間 [CI] 0.69~0.83,P<0.001),またブデソニド+ホルモテロール群よりも有意に低かった(13%低下,率比 0.87,95% CI 0.79~0.95,P=0.003).同様に,ブデソニド 160μg による 3 剤併用療法群は,発生率がグリコピロニウム+ホルモテロール群よりも有意に低く(25%低下,率比 0.75,95% CI 0.69~0.83,P<0.001),またブデソニド+ホルモテロール群よりも有意に低かった(14%低下,率比 0.86,95% CI 0.79~0.95,P=0.002).すべての有害事象の発現率は 4 群で同程度であり(範囲 61.7~64.5%),確定された肺炎の発生率は,吸入ステロイドを使用した群で 3.5~4.5%,グリコピロニウム+ホルモテロール群で 2.3%であった.
ブデソニド(160μg または 320μg),グリコピロニウム,ホルモテロールを 1 日 2 回投与する 3 剤併用療法では,グリコピロニウム+ホルモテロールまたはブデソニド+ホルモテロールと比較して,中等度または重度の COPD 増悪の発生率が低下した.(アストラゼネカ社から研究助成を受けた.ETHOS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02465567)