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July 2, 2020 Vol. 383 No. 1

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パキスタンにおける肺炎に対するアモキシシリンの無作為化試験
Randomized Trial of Amoxicillin for Pneumonia in Pakistan

F. Jehan and Others

背景

世界保健機関(WHO)は,頻呼吸を伴う肺炎患者に対して経口アモキシシリンを推奨しているが,試験のデータから,この病態の治療にアモキシシリンを使用しない場合も,使用した場合と比較して非劣性である可能性が示されている.

方 法

パキスタン・カラチの低所得地域にある一次医療センターで,小児を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照非劣性試験を行った.頻呼吸を伴う非重症肺炎の WHO 基準を満たす生後 2~59 ヵ月の小児を,アモキシシリン懸濁液 50 mg/mL(実薬対照)を 3 日間投与する群と,用量をマッチさせたプラセボ(試験レジメン)を投与する群に無作為に割り付けた.投与量は WHO の体重区分別に規定した(体重 4 kg 以上 10 kg 未満は 500 mg を 12 時間ごと,10 kg 以上 14 kg 未満は 1,000 mg を 12 時間ごと,14 kg 以上 20 kg 未満は 1,500 mg を 12 時間ごと).主要転帰は,アモキシシリンまたはプラセボの 3 日間の投与期間中の治療失敗とした.事前に規定した非劣性マージンは 1.75 パーセントポイントであった.

結 果

2014 年 11 月 9 日~2017 年 11 月 30 日に 4,002 例が無作為化された(プラセボ群 1,999 例,アモキシシリン群 2,003 例).per-protocol解析では,治療失敗率はプラセボ群で 4.9%(1,927 例中 95 例),アモキシシリン群で 2.6%(1,929 例中 51 例)であった(群間差 2.3 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 0.9~3.7).intention-to-treat 解析でも結果は同様であった.発熱と喘鳴は治療失敗の予測因子であった.1 件の治療失敗を予防するために必要な治療数は 44(95% CI 31~80)であった.各群 1 例(0.1%未満)が死亡した.再発はプラセボ群の 40 例(2.2%)とアモキシシリン群の 58 例(3.1%)に認められた.

結 論

5 歳未満の非重症肺炎の小児では,治療失敗の頻度はプラセボ群のほうがアモキシシリン群よりも高く,差はプラセボの非劣性マージンを満たさなかった.([英国国際開発省,英国医学研究評議会,ウェルカムトラストの] 共同グローバルヘルス試験計画ほかから研究助成を受けた.RETAPP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02372461)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 24 - 34. )