コロンビアにおけるジカウイルス感染症と妊娠転帰
Zika Virus Disease and Pregnancy Outcomes in Colombia
M.L. Ospina and Others
2015 年と 2016 年に,コロンビアでジカウイルス感染の広範な集団発生があった.症候性ジカウイルス感染症(ZVD)と先天異常のそれぞれに関する人口ベースの全国的な 2 つのサーベイランスシステムのデータから,ジカウイルス感染の集団発生が妊娠と乳児の転帰に及ぼす影響について相補的な情報が得られた.
2015 年 6 月~2016 年 7 月に報告された ZVD の妊娠女性の症例について,全国的なサーベイランスデータを収集した.リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(rRT-PCR)検査を受けたサブグループでジカウイルス RNA の存在が同定された.乳児・胎児の脳または眼の異常,およびその他の有害な妊娠転帰を,検査で ZVD が確認され,妊娠転帰に関するデータを入手しえた女性で同定した.集団発生中の全国における脳および眼の異常の有病率を,集団発生の前後の有病率と比較した.
ZVD の妊娠女性 18,117 例のうち,rRT-PCR により 5,926 例(33%)でジカウイルスの存在が同定された.検査で ZVD が確認され,転帰が報告された妊娠 5,673 件のうち,乳児・胎児 93 例(2%)に脳または眼の異常が認められた.脳または眼の異常の発生率は,母親が ZVD を妊娠第 1 三半期に発症した妊娠のほうが,第 2 三半期または第 3 三半期に発症した妊娠よりも高かった(3% 対 1%).妊娠 5,673 件中 172 件(3%)は妊娠喪失となった.先天異常が生じた妊娠を除外すると,5,426 件中 409 件(8%)が早産となり,5,426 件中 333 件(6%)が低出生体重となった.脳または眼の異常の有病率は,集団発生中は生児出生 10,000 人あたり 13 件であったのに対し,集団発生前は生児出生 10,000 人あたり 8 件,集団発生後は生児出生 10,000 人あたり 11 件であった.
検査で ZVD が確認された妊娠女性において,その乳児・胎児に脳または眼の異常が発生する頻度は,ジカウイルス感染の集団発生中のほうが,集団発生の直前や発生後よりも高かった.そのような異常の頻度は,妊娠初期に発症した女性で上昇した.(コロンビア国立衛生研究所,米国疾病管理予防センターから研究助成を受けた.)