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August 20, 2020 Vol. 383 No. 8

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ホモ接合性家族性高コレステロール血症に対するエビナクマブ
Evinacumab for Homozygous Familial Hypercholesterolemia

F.J. Raal and Others

背景

ホモ接合性家族性高コレステロール血症は,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールの異常高値によって引き起こされる早発性心血管疾患を特徴とする.この疾患は,LDL 受容体活性が実質的に消失する遺伝子変異(null–null 型),または異常をきたす遺伝子変異(非 null 型)と関連している.アンジオポエチン様蛋白 3 をコードする遺伝子(ANGPTL3)の機能喪失型変異は,低脂血症と,アテローム性動脈硬化性心血管疾患に対する防御と関連している.抗 ANGPTL3 モノクローナル抗体であるエビナクマブ(evinacumab)は,ホモ接合性家族性高コレステロール血症の患者に利益をもたらす可能性が示されている.

方 法

二重盲検プラセボ対照第 3 相試験で,ホモ接合性家族性高コレステロール血症を有し,安定した脂質低下療法を受けている患者 65 例を,エビナクマブ(15 mg/kg 体重)静注を 4 週ごとに行う群またはプラセボを投与する群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,24 週の時点における LDL コレステロール値のベースラインからの変化量(%)とした.

結 果

全体で,ベースライン時の LDL コレステロール値の平均は,基礎の脂質低下療法を最大用量で受けているにもかかわらず 255.1 mg/dL であった.24 週の時点で,エビナクマブ群の患者では,LDL コレステロール値がベースラインから相対的に 47.1%低下したのに対し,プラセボ群では 1.9%上昇し,群間の最小二乗平均差は -49.0 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] -65.0~-33.1,P<0.001)であった.LDL コレステロール値の群間の最小二乗平均の絶対差は -132.1 mg/dL(95% CI -175.3~-88.9,P<0.001)であった.LDL コレステロール値の低下は,null–null 型変異を有する患者ではエビナクマブ群のほうがプラセボ群よりも大きく(-43.4% 対 +16.2%),非 null 型変異を有する患者でも同様であった(-49.1% 対 -3.8%).有害事象は 2 群で同程度であった.

結 論

脂質低下療法を最大用量で受けているホモ接合性家族性高コレステロール血症の患者のうち,エビナクマブ群に割り付けられた患者では LDL コレステロール値がベースラインから低下したのに対し,プラセボ群に割り付けられた患者では若干上昇したことで,24 週の時点で 49.0 パーセントポイントの群間差が生じた.(リジェネロン・ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.ELIPSE HoFH 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03399786)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 711 - 20. )