March 25, 2021 Vol. 384 No. 12
成人における HIV ワクチン ALVAC-HIV および MF59 アジュバント添加 2 価サブタイプ C gp120 の有効性
Vaccine Efficacy of ALVAC-HIV and Bivalent Subtype C gp120–MF59 in Adults
G.E. Gray and Others
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の撲滅には安全で有効なワクチンが必須である.HIV に対するカナリア痘ベクターと蛋白によるワクチンレジメン(ALVAC-HIV+AIDSVAX B/E)は,タイでは感染の減少に若干の有効性を示した.HIV 1 型(HIV-1)サブタイプ C ウイルスを用いた類似のレジメンは,南アフリカで行われた第 1・2a 相試験で強い液性免疫応答と細胞性免疫応答を示した.このレジメンについて,南アフリカのより大規模な集団での有効性データと追加の安全性データが必要とされた.
第 2b・3 相試験で,HIV-1 に感染していない成人 5,404 例を,ワクチンを接種する群(2,704 例)とプラセボを接種する群(2,700 例)に無作為に割り付けた.ワクチンレジメンは,ALVAC-HIV を 0 ヵ月目と 1 ヵ月目に接種し,その後 ALVAC-HIV+MF59 アジュバント添加 2 価サブタイプ C gp120 の計 4 回のブースター接種を 3,6,12,18 ヵ月目に行った.主要有効性評価項目は,無作為化後 24 ヵ月間の HIV-1 感染の発生とした.
事前に規定した無効性基準が 2020 年 1 月の中間解析で満たされ,それ以降のワクチン接種は中止された.試験参加者の年齢中央値は 24 歳で,70%が女性であった.有害事象の発現率はワクチン群とプラセボ群で同程度であった.24 ヵ月の追跡期間中に,HIV-1 感染は,ワクチン群の 138 例とプラセボ群の 133 例で診断された(ハザード比 1.02,95%信頼区間 0.81~1.30,P=0.84).
ALVAC–gp120 レジメンは,免疫原性が示されていたにもかかわらず,南アフリカの参加者の HIV-1 感染を予防しなかった.(HVTN 702 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02968849)