The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 8, 2021 Vol. 384 No. 14

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

寒冷凝集素症に対するスチムリマブ
Sutimlimab in Cold Agglutinin Disease

A. Röth and Others

背景

寒冷凝集素症は,補体の古典経路の活性化によって引き起こされる溶血を特徴とするまれな自己免疫性溶血性貧血である.ヒト化モノクローナル抗体スチムリマブ(sutimlimab)は,この経路を活性化させる原因である,C1 複合体セリンプロテアーゼの C1s 蛋白を選択的に標的とする.

方 法

輸血を受けてまもない寒冷凝集素症患者におけるスチムリマブ静注の有効性と安全性を評価する目的で,26 週間の多施設共同非盲検単群試験を行った.複合主要エンドポイントは,赤血球輸血や試験実施計画書で禁止された薬剤の投与を伴わない,ヘモグロビン濃度の 12 g/dL 以上への正常化,またはベースラインから 2 g/dL 以上の上昇とした.

結 果

24 例が登録され,スチムリマブの投与を少なくとも 1 回受けた.13 例(54%)が複合主要エンドポイントの基準を満たした.治療を評価した時点(23,25,26 週目)におけるヘモグロビン濃度上昇の最小二乗平均値は 2.6 g/dL であった.平均ヘモグロビン濃度は,3 週目から試験期間終了まで 11 g/dL 超で維持された.平均ビリルビン濃度は 3 週目までに正常化した.17 例(71%)は,5~26 週目に輸血を受けなかった.疲労の臨床的に意味のある減少が 1 週目までに認められ,試験期間中維持された.補体の古典経路の活性は,機能検査で評価したところ速やかに抑制された.ヘモグロビン濃度の上昇,ビリルビン濃度の低下,疲労の減少は,補体の古典経路の抑制と同時に認められた.治療期間中,22 例(92%)で有害事象が 1 件以上発現した.7 例(29%)で重篤な有害事象が 1 件以上発現したが,試験担当医師がスチムリマブに関連すると判断したものはなかった.髄膜炎菌感染症は発生しなかった.

結 論

スチムリマブの投与を受けた寒冷凝集素症患者では,補体の古典経路の活性が選択的に上流で抑制されることにより,溶血が速やかに停止し,ヘモグロビン濃度が上昇し,疲労が減少した.(サノフィ社から研究助成を受けた.CARDINAL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03347396)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 1323 - 34. )