April 22, 2021 Vol. 384 No. 16
重症 Covid-19 患者に対するインターロイキン-6 受容体拮抗薬
Interleukin-6 Receptor Antagonists in Critically Ill Patients with Covid-19
The REMAP-CAP Investigators
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の重症患者に対するインターロイキン-6 受容体拮抗薬の有効性は不明である.
進行中の国際共同多因子適応プラットフォーム試験において,トシリズマブとサリルマブの評価を行った.集中治療室(ICU)で臓器サポートが開始されてから 24 時間以内の成人 Covid-19 患者を,トシリズマブ(8 mg/kg 体重)を投与する群,サリルマブ(400 mg)を投与する群,標準治療を行う群(対照群)のいずれかに無作為に割り付けた.主要評価項目は呼吸器および心血管系のサポートを受けていない日数とし,院内死亡(-1 の値を割り当てる)と,21 日目までの期間中の臓器サポートを受けていない日数を組み合わせた順序尺度で表した.優越性,有効性,同等性,無益性の基準を事前に規定し,ベイズ統計モデルを用いた.1 を超えるオッズ比は,生存の改善,または臓器サポートを受けていない日数がより多いこと,あるいはその両方を表した.
トシリズマブとサリルマブは,いずれも事前に規定した有効性の基準を満たした.この解析の時点で,353 例がトシリズマブ群,48 例がサリルマブ群,402 例が対照群に割り付けられていた.臓器サポートを受けていない日数の中央値は,トシリズマブ群 10 日(四分位範囲 -1~16),サリルマブ群 11 日(四分位範囲 0~16),対照群 0 日(四分位範囲 -1~15)であった.修正累積オッズ比の中央値は,対照群との比較でトシリズマブ群 1.64(95%信用区間 1.25~2.14),サリルマブ群 1.76(95%信用区間 1.17~2.91)であり,優越性の事後確率はそれぞれ 99.9%超,99.5%であった.90 日生存の解析では,2 つのインターロイキン-6 受容体拮抗薬群を合わせたデータで生存の改善が示され,ハザード比は対照群との比較で 1.61(95%信用区間 1.25~2.08),優越性の事後確率は 99.9%超であった.すべての副次的解析で,この 2 つのインターロイキン-6 受容体拮抗薬の有効性が支持された.
ICU で臓器サポートを受けていた重症 Covid-19 患者において,インターロイキン-6 受容体拮抗薬のトシリズマブとサリルマブによる治療により生存を含む転帰が改善した.(REMAP-CAP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02735707)