April 22, 2021 Vol. 384 No. 16
低栄養児に対する細菌叢を標的とする食品介入
A Microbiota-Directed Food Intervention for Undernourished Children
R.Y. Chen and Others
世界中で 3,000 万人超の小児が中等度の急性栄養不良である.現行の治療は効果が限られており,この病態が生じる原因については不明な点が多く残されている.中等度急性栄養不良児では,腸内細菌叢の発達が障害されている.
この研究では,スラムに居住する中等度急性栄養不良の 12~18 ヵ月齢のバングラデシュ人小児 123 例に,細菌を標的とする補完食のプロトタイプ(MDCF-2)またはすぐに食べられる栄養補助食(RUSF)を提供した.補給は 1 日 2 回,3 ヵ月間行い,その後 1 ヵ月間モニタリングを行った.身長に対する体重,年齢に対する体重,年齢に対する身長の z スコアと上腕周囲長の値を,ベースライン時と,介入期間中は 2 週ごと,また 4 ヵ月時に計測した.関連するこれらの表現型の変化率を,ベースライン時と 3 ヵ月時点,ベースライン時と 4 ヵ月時点で比較した.また,4,977 種の蛋白の血漿濃度と 209 種の細菌群の糞便中の量を測定した.
小児 118 例(各群 59 例)が介入を完了した.身長に対する体重と年齢に対する体重の z スコアの変化率は,研究期間中(1 ヵ月の追跡期間を含む)の成長に対する MDCF-2 の利益と一致した.MDCF-2 の摂取は,蛋白 70 種の血漿濃度と関連細菌群 21 種の量の変化の程度と関連しており,この 2 つは身長に対する体重の z スコアと正の相関を示した(蛋白と細菌群のいずれの比較も P<0.001).これらの蛋白には,骨成長や神経発達の媒介因子が含まれていた.
これらの結果は,中等度急性栄養不良児の栄養補助食として MDCF-2 を支持し,また,細菌叢の構成要素を標的とした操作が成長につながる可能性について洞察をもたらしている.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団,米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04015999)