運動またはリラグルチド,あるいはその併用による健康的な減量維持
Healthy Weight Loss Maintenance with Exercise, Liraglutide, or Both Combined
J.R. Lundgren and Others
肥満者の治療において,減量後のリバウンドは大きな問題である.
無作為化直接比較プラセボ対照試験で,糖尿病ではない肥満成人(体格指数 [体重 {kg}/身長 {m}2] 32~43)を登録した.低カロリー食を 8 週間摂取した後,参加者を 1 年間,次の 4 つの戦略のいずれかに無作為に割り付けた:中・高強度の運動プログラム+プラセボ(運動群),リラグルチド投与(3.0 mg/日)+通常の活動(リラグルチド群),運動プログラム+リラグルチド投与(併用群),プラセボ+通常の活動(プラセボ群).事前に設定した仮説に基づくエンドポイントは,intention-to-treat 集団における無作為化から治療期間終了までの体重の変化量(主要エンドポイント)と体脂肪率の変化量(副次的エンドポイント)とした.事前に設定した代謝に関する健康関連エンドポイントと,安全性についても評価した.
低カロリー食を 8 週間摂取した後,195 例で体重が平均13.1 kg 減少した.1 年の時点で,実治療戦略のすべての群で体重減少量がプラセボ群を上回り,プラセボ群との差は,運動群 -4.1 kg(95%信頼区間 [CI] -7.8~-0.4,P=0.03),リラグルチド群 -6.8 kg(95% CI -10.4~-3.1,P<0.001),併用群 -9.5 kg(95% CI -13.1~-5.9,P<0.001)であった.併用群では,運動群と比較して大幅な体重減少が得られたが(差 -5.4 kg,95% CI -9.0~-1.7,P=0.004),リラグルチド群との比較では差は大きくなかった(-2.7 kg,95% CI -6.3~0.8,P=0.13).併用群では体脂肪率が 3.9 パーセントポイント低下し,運動群(-1.7 パーセントポイント,95% CI -3.2~-0.2,P=0.02)およびリラグルチド群(-1.9 パーセントポイント,95% CI -3.3~-0.5,P=0.009)の約 2 倍低下した.併用戦略にのみ,糖化ヘモグロビン値,インスリン感受性,心肺体力の改善が認められた.リラグルチド群では,心拍数上昇と胆石症が併用群よりも多くみられた.
運動とリラグルチド療法を併用する戦略では,いずれか一方のみと比較して,健康的な減量維持が得られた.(ノボ ノルディスク財団ほかから研究助成を受けた.EudraCT 登録番号 2015-005585-32,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04122716)