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May 20, 2021 Vol. 384 No. 20

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脳底動脈閉塞による脳梗塞に対する血管内治療
Endovascular Therapy for Stroke Due to Basilar-Artery Occlusion

L.C.M. Langezaal and Others

背景

脳底動脈閉塞による脳梗塞患者に対する血管内治療の効果は十分に検討されていない.

方 法

脳底動脈閉塞による脳梗塞を発症後 6 時間以内と推定される患者を,血管内治療群と標準薬物治療群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は良好な(favorable)機能的転帰とし,90 日時点での修正 Rankin スケール(スコア範囲は 0~6 で,0 は障害なし,3 は中等度の障害,6 は死亡を示す)が 0~3 であることと定義した.主要安全性評価項目は治療開始後 3 日以内の症候性頭蓋内出血と,90 日時点での死亡とした.

結 果

300 例を組み入れた(血管内治療群 154 例,薬物治療群 146 例).静脈内血栓溶解療法は,血管内治療群の 78.6%と薬物治療群の 79.5%に行われた.脳梗塞発症から血管内治療開始までの時間の中央値は 4.4 時間であった.良好な機能的転帰は,血管内治療群 154 例中 68 例(44.2%)と薬物治療群 146 例中 55 例(37.7%)に認められた(リスク比 1.18,95%信頼区間 [CI] 0.92~1.50).症候性頭蓋内出血は,血管内治療を受けた患者の 4.5%と薬物治療を受けた患者の 0.7%に発生し(リスク比 6.9,95% CI 0.9~53.0),90 日時点での死亡率はそれぞれ 38.3%と 43.2%であった(リスク比 0.87,95% CI 0.68~1.12).

結 論

脳底動脈閉塞による脳梗塞患者においては,血管内治療と薬物治療とで良好な機能的転帰が得られる割合に有意差は認められなかった.しかし,主要評価項目の信頼区間の幅が大きかったことに表れているように,この試験の結果から血管内治療の相当な利益は否定されないと考えられる.脳底動脈閉塞に対する血管内治療の有効性と安全性を明らかにするためには,より大規模な試験が必要である.(オランダ心臓財団ほかから研究助成を受けた.BASICS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01717755,Netherlands Trial Register 登録番号 NL2500)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 1910 - 20. )