January 28, 2021 Vol. 384 No. 4
緊急避妊を目的としたレボノルゲストレル子宮内避妊器具と銅付加子宮内避妊器具との比較
Levonorgestrel vs. Copper Intrauterine Devices for Emergency Contraception
D.K. Turok and Others
米国では,子宮内避妊器具(IUD)使用者は,長期の避妊に銅付加 IUD よりもレボノルゲストレル IUD を選択することが多い.現在,緊急避妊の目的で臨床医が提案するのは銅付加 IUD のみであり,これは緊急避妊を目的としたレボノルゲストレル IUD の有効性に関するデータが不足しているためである.
ユタ州の診療所 6 施設で,参加者に試験群の割付けを知らせない無作為化非劣性試験を行った.受診前の 5 日間に避妊なしまたは避妊に失敗した性交渉を 1 回以上行った後に緊急避妊を希望し,IUD の装着に同意した女性を対象とした,参加者を,レボノルゲストレル 52 mg 含有 IUD を挿入する群と,銅付加 T380A IUD を挿入する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,IUD 挿入後 1 ヵ月の時点での尿妊娠検査陽性とした.1 ヵ月の時点での尿妊娠検査結果が得られなかった場合は,調査と医療記録データを用いて妊娠の有無を確認した.非劣性マージンは 2.5%と事前に規定した.
無作為化でレボノルゲストレル IUD を挿入する群に割り付けられた 355 例と銅付加 IUD を挿入する群に割り付けられた 356 例のうち,それぞれ 317 例と 321 例が介入を受け,1 ヵ月後の転帰データを提供した.このうち,1 ヵ月の時点での尿妊娠検査結果を提出したのはレボノルゲストレル群の 290 例と銅付加 IUD 群の 300 例であった.修正 intention-to-treat 解析と per-protocol 解析では,妊娠率はレボノルゲストレル群 317 例中 1 例(0.3%,95%信頼区間 [CI] 0.01~1.7),銅付加 IUD 群 321 例中 0 例(0%,95% CI 0~1.1)であり,いずれの解析結果も一貫してレボノルゲストレル IUDの銅付加 IUD に対する非劣性を示した.IUD 装着後の 1 ヵ月間に参加者が治療を求めるにいたった有害事象は,レボノルゲストレル IUD 群の 5.2%と銅付加 IUD 群の 4.9%に発現した.
緊急避妊に関して,レボノルゲストレル IUD は銅付加 IUD に対して非劣性であった.(ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健・人間発達研究所ほかから支援を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02175030)