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February 11, 2021 Vol. 384 No. 6

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日光角化症に対するチルバニブリン軟膏の第 3 相試験
Phase 3 Trials of Tirbanibulin Ointment for Actinic Keratosis

A. Blauvelt and Others

背景

チューブリン重合および Src キナーゼシグナル伝達を阻害するチルバニブリン(tirbanibulin)は,有棘細胞癌の前駆病変である日光角化症の外用治療薬として検討されている.

方 法

2 件の同一デザインの二重盲検試験で,顔面または頭皮に日光角化症の病変を有する成人を,チルバニブリン軟膏を外用する群と,基剤(プラセボ)を外用する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.軟膏は,4~8 個の病変が存在する連続する部位 25 cm2 に 1 日 1 回,5 日間連続で患者が塗布した.主要評価項目は,57 日目に塗布部位の病変の完全(100%)消失が認められた患者の割合とした.副次的評価項目は,57 日目に塗布部位の病変の一部(75%以上)消失が認められた患者の割合とした.1 年の時点で再発率を評価した.局所反応は 4 段階評価(0 [なし]~3 [重度])で記録した.

結 果

2 件の試験に計 702 例が登録された(各試験 351 例).完全消失は,試験 1 ではチルバニブリン群の 44%(175 例中 77 例)と基剤群の 5%(176 例中 8 例)に認められ(差 40 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 32~47,P<0.001),試験 2 ではそれぞれ 54%(178 例中 97 例)と 13%(173 例中 22 例)に認められた(差 42 パーセントポイント,95% CI 33~51,P<0.001).一部消失が認められた患者の割合は,チルバニブリン群のほうが基剤群よりも有意に高かった.チルバニブリンで完全消失が認められた患者のうち,1 年の時点で病変が再発した患者の割合の推定値は 47%であった.チルバニブリンに対する局所反応でとくに頻度が高かったのは紅斑と落屑・鱗屑であり,それぞれ患者の 91%と 82%に認められた.チルバニブリンによる有害事象は,塗布部位の疼痛が患者の 10%,瘙痒が 9%に認められ,いずれも消失した.

結 論

2 件の同一デザインの試験で,チルバニブリン 1%軟膏の 1 日 1 回,5 日間の塗布は,日光角化症の治療として 2 ヵ月の時点で基剤よりも優れていたが,一過性の局所反応と,1 年の時点での病変再発を伴った.日光角化症に対するチルバニブリン治療の効果を明らかにするためには,チルバニブリンと従来の治療とを比較し,より長期間追跡する試験が必要である.(アテネックス社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03285477,NCT03285490)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 512 - 20. )