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February 11, 2021 Vol. 384 No. 6

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HCV 慢性感染を予防するためのワクチンレジメンの無作為化試験
Randomized Trial of a Vaccine Regimen to Prevent Chronic HCV Infection

K. Page and Others

背景

C 型肝炎ウイルス(HCV)への慢性感染を予防するための安全かつ有効なワクチンは,この疾患を根絶するための取組みにおいてきわめて重要な要素である.

方 法

第 1・2 相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で,遺伝子組換えチンパンジーアデノウイルス 3 型ベクターのプライミングワクチンの接種と,その次に行う遺伝子組換え改変ワクシニアアンカラのブースター接種を評価した.いずれのワクチンも HCV の非構造蛋白をコードしている.注射薬物の最近の使用歴から HCV 感染のリスクがあると考えられた成人を,0 日目と 56 日目にワクチンの接種を受ける群とプラセボ注射を受ける群に(1:1 の割合で)無作為に割り付けた.主要安全性エンドポイントは,ワクチンに関連する重篤な有害事象,重度の局所または全身性の有害事象,臨床検査値上の有害事象とした.主要有効性エンドポイントは HCV 慢性感染とし,6 ヵ月持続するウイルス血症と定義した.

結 果

548 例が無作為化され,各群に 274 例が割り付けられた.HCV 慢性感染の発生率に群間で有意差は認められなかった.perprotocol 集団では,各群 14 例に HCV 慢性感染が発生した(ハザード比 [ワクチン 対 プラセボ] 1.53,95%信頼区間 [CI] 0.66~3.55,ワクチンの有効性 -53%,95% CI -255~34).修正 intention-to-treat 集団では,ワクチン群の 19 例とプラセボ群の 17 例に HCV 慢性感染が発生した(ハザード比 1.66,95% CI 0.79~3.50,ワクチンの有効性 -66%,95% CI -250~21).感染後の HCV RNA のピーク値の幾何平均には,ワクチン群とプラセボ群のあいだに差が認められた(それぞれ 152.51×103 IU/mL と 1804.93×103 IU/mL).HCV に対する T 細胞の反応はワクチン群の 78%で検出された.重篤な有害事象が発現した参加者の割合は 2 群で同程度であった.

結 論

この試験では,HCV ワクチンレジメンは重篤な有害事象を引き起こさず,HCV 特異的な T 細胞応答を誘導し,HCV RNA のピーク値を低下させたが,HCV 慢性感染を予防しなかった.(米国国立アレルギー・感染症研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01436357)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 541 - 9. )