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March 11, 2021 Vol. 384 No. 10

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妊娠糖尿病スクリーニングの実用的無作為化臨床試験
A Pragmatic, Randomized Clinical Trial of Gestational Diabetes Screening

T.A. Hillier and Others

背景

妊娠糖尿病は頻度が高く,母体および周産期の有害転帰の高いリスクを伴う.専門家はすべての妊娠女性に対する妊娠糖尿病スクリーニングを推奨しているが,推奨されている 2 つのスクリーニング法のどちらを使用すべきかについてのコンセンサスは得られていない.

方 法

実用的無作為化試験で,2 つの保健医療システムで診療を受けたすべての妊娠女性を対象に,1 段階スクリーニング(空腹時にブドウ糖 75 g を経口投与して血糖値を測定するブドウ糖負荷試験を行う)と 2 段階スクリーニング(非空腹時にブドウ糖 50 g を経口投与して血糖値を測定するグルコースチャレンジテストを行い,陽性の場合は,空腹時にブドウ糖 100 g を経口投与するブドウ糖負荷試験を行う)を比較した.妊娠糖尿病の治療ガイドラインは,2 つのスクリーニング法で一致していた.主要転帰は,妊娠糖尿病の診断,在胎不当過大児(LGA 児),複合周産期転帰(死産,新生児死亡,肩甲難産,骨折,分娩外傷による腕または手の神経麻痺),妊娠高血圧症または妊娠高血圧腎症,初回帝王切開とした.

結 果

23,792 例が無作為化された.試験中に 2 回以上妊娠した女性は,割り付けられたスクリーニング法が 1 種類ではない可能性がある.1 段階群の 66%と 2 段階群の 92%が割り付けられたスクリーニングを遵守した.1 段階群の 16.5%と 2 段階群の 8.5%が妊娠糖尿病の診断を受けた(未補正相対リスク 1.94,97.5%信頼区間 [CI] 1.79~2.11).intention-to-treat 解析におけるその他の主要転帰の発生率は,LGA 児が 8.9%と 9.2%(相対リスク 0.95,97.5% CI 0.87~1.05),複合周産期転帰が 3.1%と 3.0%(相対リスク 1.04,97.5% CI 0.88~1.23),妊娠高血圧症または妊娠高血圧腎症が 13.6%と 13.5%(相対リスク 1.00,97.5% CI 0.93~1.08),初回帝王切開が 24.0%と 24.6%(相対リスク 0.98,97.5% CI 0.93~1.02)であった.スクリーニング法の遵守の差に基づき確率の逆数で重み付けした intention-to-treat 解析でも,結果は大きく変化しなかった.

結 論

妊娠糖尿病の診断は 1 段階法のほうが 2 段階法よりも多かったが,周産期合併症と母体合併症に関連する主要転帰のリスクに群間で有意差は認められなかった.(ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健・人間発達研究所から研究助成を受けた.ScreenR2GDM 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02266758)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 895 - 904. )