October 14, 2021 Vol. 385 No. 16
小児における細胞培養由来 4 価インフルエンザワクチンの有効性
Efficacy of a Cell-Culture–Derived Quadrivalent Influenza Vaccine in Children
T. Nolan and Others
細胞培養由来のインフルエンザワクチンは,卵馴化による変異を回避することで,抗原性をインフルエンザウイルスの流行株に合わせられる可能性がある.
2 歳以上 18 歳未満の小児・思春期児において,Madin–Darby イヌ腎細胞株を用いた細胞培養由来 4 価不活化インフルエンザワクチン(IIV4c)の有効性を評価した.3 回のインフルエンザシーズンに,8 ヵ国の参加者を,IIV4c を非インフルエンザ(髄膜炎菌 ACWY)ワクチンと比較する観察者盲検無作為化臨床試験に登録した.参加者全例に試験ワクチンを 1 回接種した.インフルエンザワクチン接種歴がなく,IIV4c 群に割り付けられた 2 歳以上 9 歳未満児には 29 日目に 2 回目の接種を行い,比較群に割り付けられた児にはプラセボを接種した.有効性と安全性について,参加者を少なくとも 180 日間追跡した.インフルエンザ様疾患に罹患した参加者の鼻咽頭スワブにおけるインフルエンザウイルスの存在は,逆転写 PCR 法とウイルス培養によって確認した.検査で確認された A 型または B 型インフルエンザの初回発生(主要エンドポイント)で測定した IIV4c の有効性を,Cox 比例ハザードモデルを用いて評価した.
2017~19 年に,4,514 例を IIV4c を接種する群と髄膜炎菌 ACWY ワクチンを接種する群に無作為に割り付けた.検査で確認されたインフルエンザは,IIV4c 群では 2,257 例中 175 例(7.8%),比較群では 2,252 例中 364 例(16.2%)に発生し,IIV4c の有効性は54.6%(95%信頼区間 [CI] 45.7~62.1)であった.また,インフルエンザ A/H1N1 に対しては 80.7%(95% CI 69.2~87.9),インフルエンザA/H3N2 に対しては 42.1%(95% CI 20.3~57.9),インフルエンザ B に対しては 47.6%(95% CI 31.4~60.0)であった.IIV4c の有効性は,年齢別,性別,人種別,インフルエンザワクチン接種歴別のサブグループにおいても一貫して示された.有害事象の発現率は IIV4c 群と比較群で同程度であった.
IIV4c は,健康な小児・思春期児におけるシーズン中のインフルエンザを,インフルエンザワクチン接種歴にかかわらず予防した.(セキラス社から研究助成を受けた.EudraCT 登録番号2016-002883-15,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03165617)