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October 28, 2021 Vol. 385 No. 18

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出血リスクの高い患者における PCI 後の抗血小板薬 2 剤併用療法
Dual Antiplatelet Therapy after PCI in Patients at High Bleeding Risk

M. Valgimigli and Others

背景

出血リスクの高い患者における薬剤溶出性冠動脈ステント留置後の抗血小板薬 2 剤併用療法の適切な期間は,依然明らかではない.

方 法

生分解性ポリマーを用いたシロリムス溶出冠動脈ステント留置後 1 ヵ月の時点で,出血リスクの高い患者を,抗血小板薬 2 剤併用療法をただちに中止する群(短縮療法群)と,さらに 2 ヵ月以上継続する群(標準療法群)に無作為に割り付けた.順位付けした 3 つの主要転帰は,純臨床有害事象(全死因死亡,心筋梗塞,脳卒中,大出血の複合),主要有害心脳イベント(全死因死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合),大出血または大出血ではないが臨床的に重要な出血とし,累積発生率を 335 日の時点で評価した.最初の 2 つの転帰は,per-protocol 集団で非劣性を評価し,3 つ目の転帰は,intention-to-treat 集団で優越性を評価した.

結 果

per-protocol 集団の 4,434 例において,純臨床有害事象は短縮療法群の 165 例(7.5%)と標準療法群の 172 例(7.7%)に発生した(差 -0.23 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -1.80~1.33,非劣性の P<0.001).主要有害心脳イベントは短縮療法群の 133 例(6.1%)と標準療法群の 132 例(5.9%)に発生した(差 0.11 パーセントポイント,95% CI -1.29~1.51,非劣性の P=0.001).intention-to-treat 集団の 4,579 例において,大出血または大出血ではないが臨床的に重要な出血は短縮療法群の 148 例(6.5%)と標準療法群の 211 例(9.4%)に発生した(差 -2.82 パーセントポイント,95% CI -4.40~-1.24,優越性の P<0.001).

結 論

1 ヵ月間の抗血小板薬 2 剤併用療法は,純臨床有害事象と主要有害心脳イベントの発生に関して,さらに 2 ヵ月以上継続する 2 剤併用療法に対して非劣性であった.大出血または大出血ではないが臨床的に重要な出血の発生率も短縮療法のほうが低かった.(テルモ社から研究助成を受けた.MASTER DAPT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03023020)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 1643 - 55. )