The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 28, 2021 Vol. 385 No. 18

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

重症喘息に対するリサンキズマブ ― 第 2a 相プラセボ対照試験
Risankizumab in Severe Asthma — A Phase 2a, Placebo-Controlled Trial

C.E. Brightling and Others

背景

インターロイキン-23 は,2 型サイトカイン,17 型サイトカインを介した気道炎症への関与が示唆されている.喘息治療でインターロイキン-23 を標的とすることで,喘息コントロールが改善し,気道炎症が抑制されるかどうかは明らかにされていない.

方 法

重症喘息の成人において抗インターロイキン-23p19 モノクローナル抗体リサンキズマブの有効性と安全性を評価する,24 週間の第 2a 相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験を行った.患者を,リサンキズマブ 90 mg を 4 週ごとに皮下投与する群とプラセボを投与する群に割り付けた.主要エンドポイントは初回の喘息悪化までの期間とした.喘息悪化は,2 日間以上続くベースラインからの悪化(朝のピークフロー値の 30%以上の減少,または 24 時間のレスキュー薬吸入数のベースラインから 50%以上の増加 [吸入数の少なくとも 4 回の増加に相当] とした),重度の急性増悪,5 項目の喘息コントロール質問票(ACQ-5;スコアは 0~6 で,高いほどコントロール不良であることを示す)の 0.75 ポイント以上の増加のいずれかと定義した.副次的エンドポイントは,喘息悪化の年間発生率,重度の急性増悪の年間発生率,ACQ-5 スコア,1 秒量とした.喀痰細胞学的解析と遺伝子発現解析を用いて探索的エンドポイントを評価し,安全性の評価も行った.

結 果

105 例がリサンキズマブ,109 例がプラセボの投与を受けた.患者の臨床的特性は 2 群で類似していた.初回の喘息悪化までの期間は,リサンキズマブ群のほうがプラセボ群よりも短かった(中央値 40 日 対 86 日,ハザード比 1.46,95%信頼区間 [CI] 1.05~2.04,P=0.03).リサンキズマブ群のプラセボ群に対する喘息悪化の年間発生率の比は 1.49(95% CI 1.12~1.99),重度の急性増悪の年間発生率の比は 1.13(95% CI 0.75~1.70)であった.喀痰トランスクリプトーム経路解析では,ナチュラルキラー細胞と細胞傷害性 T 細胞の活性化,および 1 型ヘルパー T 細胞と 17 型ヘルパー T 細胞の転写因子の活性化に関与する遺伝子が,リサンキズマブによりダウンレギュレートされたことが示された.リサンキズマブ療法に伴う安全性の懸念は認められなかった.

結 論

リサンキズマブの投与には,重症喘息に対する有益性はなかった.リサンキズマブ群は,プラセボ群と比較して初回の喘息悪化までの期間が短く,喘息悪化の年間発生率が高かった.(アッヴィ社,ベーリンガーインゲルハイム社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02443298)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 1669 - 79. )