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November 11, 2021 Vol. 385 No. 20

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急性心筋梗塞に対するアンジオテンシン受容体–ネプリライシン阻害
Angiotensin Receptor–Neprilysin Inhibition in Acute Myocardial Infarction

M.A. Pfeffer and Others

背景

症候性心不全患者では,サクビトリル–バルサルタンによって,入院および心血管系の原因による死亡のリスクがアンジオテンシン変換酵素阻害薬よりも効果的に減少することがわかっている.急性心筋梗塞患者でこれらの薬剤の効果を比較する試験はまだ行われていない.

方 法

左室駆出率低下,肺うっ血,またはその両方を合併した心筋梗塞患者を,推奨治療に加えて,サクビトリル–バルサルタン(サクビトリル 97 mg とバルサルタン 103 mg,1 日 2 回)を投与する群と,ラミプリル(5 mg,1 日 2 回)を投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,心血管系の原因による死亡または新規心不全(外来での症候性心不全,入院にいたった心不全)の,先に発生したほうとした.

結 果

5,661 例が無作為化され,2,830 例がサクビトリル–バルサルタン群,2,831 例がラミプリル群に割り付けられた.中央値で 22 ヵ月間に,主要転帰イベントは,サクビトリル–バルサルタン群の 338 例(11.9%)とラミプリル群の 373 例(13.2%)に発生した(ハザード比 0.90,95%信頼区間 [CI] 0.78~1.04,P=0.17).心血管系の原因による死亡または心不全による入院は,サクビトリル–バルサルタン群の 308 例(10.9%)とラミプリル群の 335 例(11.8%)に発生した(ハザード比 0.91,95% CI 0.78~1.07).心血管系の原因による死亡はそれぞれ 168 例(5.9%)と 191 例(6.7%)(ハザード比 0.87,95% CI 0.71~1.08),全死因死亡はそれぞれ 213 例(7.5%)と 242 例(8.5%)(ハザード比 0.88,95% CI 0.73~1.05)に発生した.有害事象により,サクビトリル–バルサルタン群の 357 例(12.6%)とラミプリル群の 379 例(13.4%)で投与が中止された.

結 論

急性心筋梗塞患者において,サクビトリル–バルサルタンは,心血管系の原因による死亡または新規心不全の発生率がラミプリルと比較して有意に低いこととは関連していなかった.(ノバルティス社から研究助成を受けた.PARADISE-MI 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02924727)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 1845 - 55. )