December 2, 2021 Vol. 385 No. 23
再発卵巣癌に対する腫瘍減量手術の無作為化試験
Randomized Trial of Cytoreductive Surgery for Relapsed Ovarian Cancer
P. Harter and Others
再発卵巣癌患者には,全身療法を主体とした治療が主に行われる.第二次腫瘍減量手術の役割は明らかにされていない.
白金製剤非使用期間(白金製剤ベースの化学療法が行われない期間)が 6 ヵ月以上経過した時点で初回再発を認めた再発卵巣癌患者を,第二次腫瘍減量手術を施行しその後白金製剤ベースの化学療法を行う群と,白金製剤ベースの化学療法のみを行う群に無作為に割り付けた.Arbeitsgemeinschaft Gynäkologische Onkologie(AGO)スコア陽性の患者を適格とした.AGO スコア陽性は,完全切除が得られる可能性のある患者の同定に用いるもので,米国東部癌共同研究グループ(ECOG)のパフォーマンスステータススコア(5 ポイントスケールで,スコアが高いほど障害が大きいことを示す)0,腹水 500 mL 未満,初回手術時の完全切除の 3 つが存在することと定義される.主要エンドポイントは全生存とした.QOL と,生存の予後因子についても評価した.
407 例が無作為化され,206 例が腫瘍減量手術と化学療法を行う群,201 例が化学療法のみを行う群に割り付けられた.手術群で手術を受けた患者の 75.5%で完全切除が得られた.全生存期間の中央値は手術群で 53.7 ヵ月,非手術群で 46.0 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.75,95%信頼区間 0.59~0.96,P=0.02).完全切除が得られた患者は転帰がもっとも良好であり,全生存期間の中央値は 61.9 ヵ月であった.手術の利益は,予後因子別のサブグループ解析すべてにおいて認められた.QOL 指標には追跡した 1 年間を通して群間に差は認められず,術後 30 日以内の周術期死亡はなかった.
再発卵巣癌女性では,腫瘍減量手術を施行しその後化学療法を行うことで,化学療法のみを行った場合と比較して全生存期間が延長した.(AGO 研究グループほかから研究助成を受けた.DESKTOP III 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01166737)