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December 16, 2021 Vol. 385 No. 25

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透析を受けている患者の腎性貧血の治療におけるダプロデュスタット
Daprodustat for the Treatment of Anemia in Patients Undergoing Dialysis

A.K. Singh and Others

背景

慢性腎臓病(CKD)患者において,腎性貧血の治療に遺伝子組換えヒトエリスロポエチンとその誘導体を使用した場合,脳卒中,心筋梗塞,その他の有害事象のリスクが上昇する可能性と関連することが示されている.複数の試験で,低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素(PH)阻害薬は,ヘモグロビン値の上昇に関して,赤血球造血刺激因子製剤(ESA)と同程度に有効であることが示唆されている.

方 法

無作為化非盲検第 3 相試験で,透析を受けており,ヘモグロビン値が 8.0~11.5 g/dL の CKD 患者を,HIF-PH 阻害薬(ダプロデュスタット)を経口投与する群と,ESA(血液透析を受けている場合はエポエチンアルファ,腹膜透析を受けている場合はダルベポエチンアルファ)を注射する群に割り付けた.主要転帰は,ヘモグロビン値のベースラインから 28~52 週目までの変化量の平均(非劣性マージン -0.75 g/dL)と,主要有害心血管イベント(MACE;全死因死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の複合)の初回発生(非劣性マージン 1.25)の 2 つとした.

結 果

2,964 例が無作為化された.ベースラインのヘモグロビン値の平均(±SD)は,全体で 10.4±1.0 g/dL であった.ヘモグロビン値のベースラインから 28~52 週目までの変化量の平均(±SE)は,ダプロデュスタット群 0.28±0.02 g/dL,ESA 群 0.10±0.02 g/dL であり(差 0.18 g/dL,95%信頼区間 [CI] 0.12~0.24),事前に規定した非劣性マージンの -0.75 g/dL を満たした.中央値 2.5 年の追跡期間中に,MACE はダプロデュスタット群 1,487 例中 374 例(25.2%),ESA 群 1,477 例中 394 例(26.7%)に発生し(ハザード比 0.93,95% CI 0.81~1.07),これも事前に規定したダプロデュスタットの非劣性マージンを満たした.その他の有害事象が発現した患者の割合は,2 群で同程度であった.

結 論

透析を受けている CKD 患者において,ダプロデュスタットは,ヘモグロビン値のベースラインからの変化量と心血管転帰に関して,ESA に対して非劣性を示した.(グラクソ・スミスクライン社から研究助成を受けた.ASCEND-D 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02879305)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 2325 - 35. )