腰椎変性すべり症に除圧術を単独で行った場合と固定術を併用した場合との比較
Decompression with or without Fusion in Degenerative Lumbar Spondylolisthesis
I.M. Austevoll and Others
腰部脊柱管狭窄症と腰椎変性すべり症を有する患者では,除圧術を単独で行った場合に,インストゥルメンテーションを用いた固定術を併用した場合と比較して非劣性であるかどうかは明らかにされていない.
症候性腰部脊柱管狭窄症を有し,単椎間に 3 mm 以上のすべりがあり,保存的治療に反応しなかった患者を対象として非盲検多施設共同非劣性試験を行った.患者を,除圧術を施行する群(除圧術単独群)と,除圧術にインストゥルメンテーションを用いた固定術を併用する群(固定術群)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,術後 2 年間でのオズウェストリー障害指数(ODI)スコア(0~100 で,スコアが高いほど障害が大きいことを示す)の 30%以上の低下とし,非劣性マージンは -15 パーセントポイントとした.副次的転帰は,ODI スコアの変化量の平均と,チューリッヒ跛行質問票スコア,下肢痛と背部痛のスコア,手術時間と入院期間,2 年以内の再手術などとした.
患者の平均年齢は約 66 歳であった.患者の約 75%が 1 年を超えて持続する下肢痛を,80%超が 1 年を超えて持続する背部痛を有していた.ベースラインから 2 年の時点までの ODI スコアの変化量の平均は,除圧術単独群で -20.6,固定術群で -21.3 であった(差の平均 0.7,95%信頼区間 [CI] -2.8~4.3).修正 intention-to-treat 解析では,ODI スコアが 30%以上低下したのは除圧術単独群の 133 例中 95 例(71.4%)と固定術群の 129 例中 94 例(72.9%)であり(差 -1.4 パーセントポイント,95% CI -12.2~9.4),除圧術単独の非劣性が示された.per-protocol 解析では,ODI スコアが 30%以上低下したのはそれぞれ 106 例中 80 例(75.5%)と 110 例中 83 例(75.5%)であり(差 0.0 パーセントポイント,95% CI -11.4~11.4),非劣性が示された.副次的転帰の結果も,大部分が主要転帰と同様の方向性を示した.2 年の時点で画像が得られた 100 例中 86 例(86.0%)で確実な固定が得られた.再手術は,除圧術単独群の 120 例中 15 例(12.5%),固定術群の 121 例中 11 例(9.1%)で行われた.
腰椎変性すべり症に対する手術を受ける患者(大部分に 1 年を超えて持続する症状があった)を対象とした試験で,除圧術を単独で行った場合,インストゥルメンテーションを用いた固定術を併用した場合と比較して,2 年間は非劣性であった.再手術は除圧術単独群のほうが固定術群よりもやや多かった.(NORDSTEN-DS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02051374)