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August 26, 2021 Vol. 385 No. 9

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重篤な Covid-19 患者に対するヘパリンによる治療的抗凝固療法
Therapeutic Anticoagulation with Heparin in Critically Ill Patients with Covid-19

The REMAP-CAP, ACTIV-4a, and ATTACC Investigators

背景

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)患者では,血栓症と炎症が合併症と死亡に寄与している可能性がある.治療用量での抗凝固療法により,重篤な Covid-19 患者の転帰が改善するという仮説を立てた.

方 法

適応的デザインの非盲検マルチプラットフォーム無作為化臨床試験で,重症 Covid-19 で重篤な状態にある患者を,実用的に定義したレジメンとして,治療用量のヘパリンによる抗凝固療法を行う群と,現地の通常治療に従い薬剤による血栓予防を行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は臓器サポートを受けていない日数とし,院内死亡(-1 の値を割り当てた)と,生存退院した患者における,21 日目までの心血管系または呼吸器のサポートを受けていない日数を組み合わせた順序尺度で評価した.

結 果

試験は,事前に規定した,治療用量での抗凝固療法の無益性の基準が満たされた時点で中止された.主要転帰に関するデータは 1,098 例(治療用量での抗凝固療法に割り付けられた 534 例,通常治療の血栓予防に割り付けられた 564 例)で得られた.臓器サポートを受けていない日数の中央値は,治療用量での抗凝固療法に割り付けられた患者では 1(四分位範囲 -1~16),通常治療の血栓予防に割り付けられた患者では 4(四分位範囲 -1~16)であった(補正比例オッズ比 0.83,95%信用区間 0.67~1.03,無益性の事後確率 [オッズ比<1.2 と定義] 99.9%).生存退院した患者の割合は 2 群で同程度であった(それぞれ 62.7%と 64.5%,補正比例オッズ比 0.84,95%信用区間 0.64~1.11).大出血は治療用量での抗凝固療法に割り付けられた患者の 3.8%,通常治療の薬剤による血栓予防に割り付けられた患者の 2.3%に発生した.

結 論

重篤な Covid-19 患者に対し,初期戦略として治療用量のヘパリンによる抗凝固療法を行っても,通常治療の薬剤による血栓予防を行った場合と比較して生存退院の確率が高くなることはなく,心血管系または呼吸器のサポートを受けない日数が多くなることもなかった.(REMAP-CAP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02735707;ACTIV-4a 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04505774,NCT04359277;ATTACC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04372589)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 777 - 89. )