September 2, 2021 Vol. 385 No. 10
チリにおける不活化 SARS-CoV-2 ワクチンの有効性
Effectiveness of an Inactivated SARS-CoV-2 Vaccine in Chile
A. Jara and Others
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を予防するためのワクチン集団接種キャンペーンが多くの国で行われており,意思決定を支援するためにワクチンの有効性の推定が緊急に必要とされている.チリでは,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の不活化ワクチン(コロナバック [CoronaVac])を使用した全国的な集団接種キャンペーンが 2021 年 2 月 2 日から実施された.
公的な国民医療システムに加入している 16 歳以上が含まれる前向き全国コホートを用いて,この不活化 SARS-CoV-2 ワクチンの Covid-19 および Covid-19 に関連する入院,集中治療室(ICU)入室,死亡の予防に対する有効性を評価した.拡張 Cox 比例ハザードモデルを用いて,時間依存性のワクチン接種状況を考慮しハザード比を推定した.部分接種(初回接種後 14 日以上経過し,2 回目の接種前),完全接種(2 回目の接種後 14 日以上経過)に関連するハザード比の変化を推定した.ワクチンの有効性は個々の人口統計学的特性と臨床的特性で補正して推定した.
研究は 2021 年 2 月 2 日~5 月 1 日に行われ,コホートには約 1,020 万例が含まれた.完全接種者における補正後のワクチン有効率は,Covid-19 の予防に対して 65.9%(95%信頼区間 [CI] 65.2~66.6),入院の予防に対して 87.5%(95% CI 86.7~88.2),ICU 入室の予防に対して 90.3%(95% CI 89.1~91.4),Covid-19 関連死の予防に対して 86.3%(95% CI 84.5~87.9)であった.
今回の結果は,この不活化 SARS-CoV-2 ワクチンが重症疾患や死亡を含む Covid-19 を効果的に予防したことを示しており,この知見はこのワクチンの第 2 相試験の結果と一致している.(チリ国立研究開発機構 [Agencia Nacional de Investigación y Desarrollo] ほかから研究助成を受けた.)