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March 31, 2022 Vol. 386 No. 13

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Covid-19 ワクチン接種および過去の感染による SARS-CoV-2 に対する防御
Protection against SARS-CoV-2 after Covid-19 Vaccination and Previous Infection

V. Hall and Others

背景

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)への感染による免疫と,ワクチン接種による免疫の持続期間および有効性は,ブースター接種のタイミングなどの,パンデミックに対する政策介入に密接に関連する.

方 法

英国で,ルーチンの PCR 検査を受けていた,無症状の医療従事者の前向きコホートにおける免疫の持続期間と有効性を検討した.過去の感染の有無で層別化し,ワクチンの接種者と未接種者とで,PCR 検査で感染が確認されるまでの期間を比較することにより,ワクチンの有効性(1 回目の接種後最長 10 ヵ月まで)と感染による免疫を評価した.過去の SARS-CoV-2 感染の有無,ワクチンの種類と接種間隔,人口統計学的特性,職場における SARS-CoV-2 曝露で補正し,Cox 回帰モデルを用いて解析した.

結 果

35,768 例のうち,27%(9,488 例)に SARS-CoV-2 感染歴があった.ワクチン接種率は高く,参加者の 97%が 2 回接種を受けていた(BNT162b2 ワクチン [ファイザー社–ビオンテック社] を接種し,接種間隔が長かった人 78%,BNT162b2 ワクチンを接種し,接種間隔が短かった人 9%,ChAdOx1 nCoV-19 ワクチン [アストラゼネカ社] を接種した人 8%).2020 年 12 月 7 日~2021 年 9 月 21 日に,初感染 2,747 例,再感染 210 例が認められた.感染歴のない参加者のうち,BNT162b2 ワクチンを長い接種間隔で接種した人では,補正後のワクチン有効率は,2 回目の接種後 14~73 日の時点で 85%(95%信頼区間 [CI] 72~92)であったが,2 回目の接種後中央値 201 日(四分位範囲 197~205)の時点で 51%(95% CI 22~69)に低下した.この有効率には,接種間隔が長かった人と短かった人とのあいだで有意差は認められなかった.ChAdOx1 nCoV-19 ワクチンを接種した人では,補正後のワクチン有効率は 2 回目の接種後 14~73 日の時点で 58%(95% CI 23~77)であり,BNT162b2 ワクチンを接種した人よりも大幅に低かった.感染による免疫は,ワクチン未接種の場合 1 年後に減衰したが,感染後にワクチンを接種した場合は,感染後 18 ヵ月を経過している人でさえ,一貫して有効率 90%を超えていた.

結 論

BNT162b2 ワクチンの 2 回接種は,SARS-CoV-2 感染に対する短期の高い防御効果と関連していたが,防御効果は 6 ヵ月後に大幅に減弱した.感染による免疫の高さはワクチン接種で増強され,感染後 1 年を超えて持続した.(英国健康安全保障庁ほかから研究助成を受けた.ISRCTN 登録番号 ISRCTN11041050)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1207 - 20. )