March 31, 2022 Vol. 386 No. 13
Covid-19 回復後の BNT162b2 ワクチンの有効性
Effectiveness of the BNT162b2 Vaccine after Recovery from Covid-19
A. Hammerman and Others
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)への感染リスクは,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)から回復した患者では大幅に低下する.しかし,防御免疫がどの程度持続するかは不明である.このような場合のワクチンの有効性に関するデータはまだ限られているが,現在のガイドラインでは回復者にもワクチン接種が推奨されている.
後ろ向きコホート研究で,イスラエルの大規模医療機関の電子診療録をレビューし,Covid-19 ワクチンの接種前に SARS-CoV-2 に感染し,回復した患者における再感染率を評価した.2021 年 3 月 1 日~11 月 26 日に,回復後 BNT162b2 ワクチン(ファイザー社–ビオンテック社)を接種した人と接種しなかった人とで,再感染率を比較した.時間依存性共変量を含めた Cox 比例ハザード回帰モデルを用いて,人口統計学的因子と併存疾患で補正後の,ワクチン接種と再感染との関連を推定した.ワクチンの有効性は 1 からハザード比を引いた値として求めた.副次的解析では,1 回接種の有効性を 2 回接種と比較評価した.
SARS-CoV-2 感染から回復した患者のうち,149,032 例が適格基準を満たした.このうち 83,356 例(56%)が 270 日間の研究期間中にワクチン接種を受けた.再感染は,ワクチン接種を受けた人の 354 例(100,000 人あたり 2.46 例/日)に発生し,ワクチン接種を受けなかった 65,676 例では 2,168 例(100,000 人あたり 10.21 例/日)に発生した.ワクチンの有効率は 16~64 歳で 82%(95%信頼区間 [CI] 80~84),65 歳以上で 60%(95% CI 36~76)と推定された.1 回接種の有効性に,2 回接種と比較して有意差は認められなかった.
Covid-19 回復者において,BNT162b2 ワクチンの接種を少なくとも 1 回受けることは,再感染のリスクが有意に低いことと関連した.