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April 14, 2022 Vol. 386 No. 15

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免疫性血小板減少症に対する経口 BTK 阻害薬リルザブルチニブ
Rilzabrutinib, an Oral BTK Inhibitor, in Immune Thrombocytopenia

D.J. Kuter and Others

背景

リルザブルチニブ(rilzabrutinib)は,ブルトン型チロシンキナーゼの可逆的共有結合型経口阻害薬であり,2 つの作用機序,すなわちマクロファージ(Fcγ受容体)を介した血小板破壊の抑制と,病原性自己抗体産生の抑制によって,免疫性血小板減少症患者の血小板数を増加させる可能性がある.

方 法

適応的デザインの国際共同非盲検用量設定第 1・2 相試験で,治療歴のある免疫性血小板減少症患者に対するリルザブルチニブ療法を評価した.個人内用量漸増法を用いてリルザブルチニブの経口投与を 24 週間行った.開始用量は,200 mg 1 日 1 回,400 mg 1 日 1 回,300 mg 1 日 2 回,400 mg 1 日 2 回の 4 段階とした.主要エンドポイントは,安全性と血小板反応性(血小板数が少なくとも 2 回連続で 50×103/mm3 以上,かつレスキュー薬を使用せずにベースラインから 20×103/mm3 以上増加と定義)とした.

結 果

60 例が登録された.ベースライン時の血小板数の中央値は 15×103/mm3,罹病期間の中央値は 6.3 年,それまでに受けた免疫性血小板減少症治療の種類の中央値は 4 であった.治療関連有害事象はすべてグレード 1 または 2 で,一過性であった.グレード 2 以上の治療に関連する出血または血栓イベントは認められなかった.投与期間の中央値が 167.5 日(範囲 4~293)の時点で,全 60 例のうち 24 例(40%)と,リルザブルチニブを最高用量で開始した 45 例のうち 18 例(40%)で,主要エンドポイントである血小板反応性が得られた.血小板数 50×103/mm3 以上に最初に到達するまでの期間の中央値は 11.5 日であった.主要血小板反応性が得られた患者において,血小板数が 50×103/mm3 以上であった週の割合は平均で 65%であった.

結 論

リルザブルチニブは有効であり,毒性はすべての用量で低グレードのもののみであった.400 mg 1 日 2 回が以降の試験の用量として同定された.全体として,リルザブルチニブは,投与期間に伴って向上する迅速かつ持続的な臨床活性を示した.(サノフィ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03395210,EudraCT 登録番号 2017-004012-19)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1421 - 31. )