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January 20, 2022 Vol. 386 No. 3

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HER2 陽性非小細胞肺癌に対するトラスツズマブ デルクステカン
Trastuzumab Deruxtecan in HER2-Mutant Non–Small-Cell Lung Cancer

B.T. Li and Others

背景

ヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)標的療法は,非小細胞肺癌(NSCLC)患者には承認されていない.HER2 陽性 NSCLC 患者に対する HER2 抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(旧称 DS-8201)の有効性と安全性について,広範な検討はなされていない.

方 法

標準治療に抵抗性を示す転移性 HER2 陽性 NSCLC 患者に対し,トラスツズマブ デルクステカン(6.4 mg/kg 体重)を投与する多施設共同国際第 2 相試験を行った.主要転帰は,独立中央判定委員会の判定による客観的奏効とした.副次的転帰は,奏効期間,無増悪生存,全生存,安全性などとした.HER2 異常のバイオマーカーを評価した.

結 果

91 例を組み入れた.追跡期間の中央値は 13.1 ヵ月(範囲 0.7~29.1)であった.独立中央判定委員会による判定で客観的奏効が得られたのは患者の 55%(95%信頼区間 [CI] 44~65)であった.奏効期間の中央値は 9.3 ヵ月(95% CI 5.7~14.7)であった.無増悪生存期間の中央値は 8.2 ヵ月(95% CI 6.0~11.9)であり,全生存期間の中央値は 17.8 ヵ月(95% CI 13.8~22.1)であった.安全性プロファイルは先行試験で認められたものとおおむね一致しており,グレード 3 以上の薬剤関連有害事象は患者の 46%に発現し,もっとも多かったのは好中球減少(19%)であった.薬剤関連と判定された間質性肺疾患が患者の 26%に発現し,2 例は死にいたった.反応はさまざまな HER2 変異サブタイプで認められ,HER2 発現が検出不能であった患者や HER2 増幅がみられなかった患者においても認められた.

結 論

治療歴のある HER2 陽性 NSCLC 患者において,トラスツズマブ デルクステカンは持続的な抗腫瘍活性を示した.安全性プロファイルには,2 例で致死的となった間質性肺疾患が含まれた.認められた毒性は,先行試験で報告されたものとおおむね一致していた.(第一三共社,アストラゼネカ社から研究助成を受けた.DESTINY-Lung01 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03505710)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 241 - 51. )