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February 3, 2022 Vol. 386 No. 5

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遺伝子型がβ00 以外のβサラセミアに対するベティベグロジーン オートテムセル遺伝子治療
Betibeglogene Autotemcel Gene Therapy for Non–β00 Genotype β-Thalassemia

F. Locatelli and Others

背景

輸血依存性βサラセミアに対するベティベグロジーンオートテムセル(betibeglogene autotemcel;beti-cel)による遺伝子治療には,βグロビン(βA-T87Q)遺伝子をコードする BB305 レンチウイルスベクターで遺伝子導入した自家 CD34 陽性造血幹細胞および前駆細胞が含まれる.

方 法

非盲検第 3 相試験で,輸血依存性βサラセミアを有し,遺伝子型がβ00 以外の成人および小児患者を対象に,beti-cel の有効性と安全性を評価した.ブスルファン(薬物動態解析に基づき調整した用量)による骨髄破壊的前処置後,患者に beti-cel の静脈内投与を行った.主要エンドポイントは,輸血非依存状態(すなわち,赤血球輸血なしにヘモグロビン濃度の加重平均が 9 g/dL 以上の状態が 12 ヵ月以上持続)とした.

結 果

23 例が登録され,治療を受けた.追跡期間の中央値は 29.5 ヵ月(範囲 13.0~48.2)であった.評価しえた 22 例のうち,輸血非依存状態となったのは 20 例(91%)であり,これには 12 歳未満 7 例中 6 例(86%)が含まれた.輸血非依存状態での平均ヘモグロビン濃度は 11.7 g/dL(範囲 9.5~12.8)であった.beti-cel の注入後 12 ヵ月の時点で,輸血非依存状態の患者では,遺伝子治療に由来する T87Q のアミノ酸置換を伴う成体ヘモグロビン(HbAT87Q)濃度の中央値が 8.7 g/dL(範囲 5.2~10.6)であった.beti-cel の安全性プロファイルは,ブスルファン主体の骨髄破壊的前処置のものと一致していた.試験責任医師が beti-cel に関連している,または関連している可能性があると判断した有害事象は 4 例でそれぞれ 1 件以上発現し,血小板減少(1 例)以外はいずれも重篤なものではなかった.癌の症例は認められなかった.

結 論

beti-cel による治療の結果,遺伝子型がβ00 以外のβサラセミアの 12 歳未満を含む患者の大部分で,HbAT87Q 濃度が維持され,総ヘモグロビン濃度は,輸血非依存状態となるのに十分なほど高くなった.(ブルーバード バイオ社から研究助成を受けた.HGB-207 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02906202)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 415 - 0. )