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March 3, 2022 Vol. 386 No. 9

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心臓手術後の高感度トロポニン I と 30 日死亡率
High-Sensitivity Troponin I after Cardiac Surgery and 30-Day Mortality

P.J. Devereaux and Others

背景

心臓手術を受ける患者の周術期心筋梗塞および臨床的に重要な周術期心筋損傷の定義における心筋トロポニン上昇の閾値に関して,コンセンサスステートメントで推奨されている範囲は広い(同検査の基準値上限の 10 倍超~70 倍以上).これらの推奨値を支持するエビデンスは限られている.

方 法

心臓手術を受ける 18 歳以上の患者を対象として,国際共同前向きコホート研究を行った.術後 3~12 時間の時点および 1,2,3 日目に,高感度心筋トロポニン I(基準値上限 26 ng/L)の測定値を得た.トロポニンのピーク測定値と,欧州心臓手術リスク評価システム II(EuroSCORE II;心臓手術後の死亡リスクを,年齢や性別などの 18 の変数に基づいて推定する)のスコアで補正した 30 日死亡率との関連を検討する回帰スプラインを用いて,Cox 解析を行った.

結 果

解析対象となった 13,862 例のうち,296 例(2.1%)が術後 30 日以内に死亡した.単独冠動脈バイパス術,または大動脈弁置換術・大動脈弁形成術を受けた患者では,術後 1 日以内に測定した,30 日以内の死亡の補正ハザード比 1.00 超に関連するトロポニンの閾値は 5,670 ng/L(95%信頼区間 [CI] 1,045~8,260)であり,基準値上限の 218 倍であった.その他の心臓手術を受けた患者では,同トロポニン閾値は 12,981 ng/L(95% CI 2,673~16,591)であり,基準値上限の 499 倍であった.

結 論

30 日以内の死亡リスクが高いことに関連する心臓手術後の高感度トロポニン I 閾値は,臨床的に重要な周術期心筋損傷の定義に現在推奨されている値よりも顕著に高かった.(カナダ保健研究機構ほかから研究助成を受けた.VISION Cardiac Surgery 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01842568)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 827 - 36. )