September 15, 2022 Vol. 387 No. 11
熱傷治療におけるグルタミン経腸投与の無作為化試験
A Randomized Trial of Enteral Glutamine for Treatment of Burn Injuries
D.K. Heyland and Others
グルタミンは,重症外傷に対する代謝反応とストレス反応に有益な効果があると考えられている.熱傷患者やその他の重症患者を対象とした臨床試験では,グルタミン投与の利益とリスクに関して,相反する結果が示されている.
二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,深度 II 度または III 度の熱傷(年齢によって,総体表面積の 10%以上~20%以上)を負った入院後 72 時間以内の患者を,グルタミン 0.5 g/kg 体重/日の経腸投与を行う群と,プラセボの投与を行う群に割り付けた.試験薬は,栄養チューブを用いて 4 時間ごとに投与するか,経口で 1 日 3 回または 4 回投与することとし,最後の皮膚移植術後 7 日,急性期治療室退室,入院後 3 ヵ月のいずれか早い時点まで継続した.主要転帰は生存退院までの期間とし,データは 90 日で打ち切った.生存退院の部分分布ハザード比を算出し,死亡を競合リスクとして考慮した.
重症熱傷患者 1,209 例(熱傷面積の平均は総体表面積の 33%)が無作為化され,1,200 例が解析に組み入れられた(グルタミン群 596 例,プラセボ群 604 例).生存退院までの期間の中央値は,グルタミン群で 40 日(四分位範囲 24~87),プラセボ群で 38 日(四分位範囲 22~75)であった(生存退院の部分分布ハザード比 0.91,95%信頼区間 [CI] 0.80~1.04,P=0.17).6 ヵ月死亡率は,グルタミン群で 17.2%,プラセボ群で 16.2%であった(死亡のハザード比 1.06,95% CI 0.80~1.41).重篤な有害事象に大きな群間差はなかった.
重症熱傷患者では,グルタミン投与を行っても,生存退院までの期間は短縮しなかった.(米国国防総省,カナダ保健研究機構から研究助成を受けた.RE-ENERGIZE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00985205)