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July 14, 2022 Vol. 387 No. 2

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母体のワクチン接種とその乳児における Covid-19 による入院のリスク
Maternal Vaccination and Risk of Hospitalization for Covid-19 among Infants

N.B. Halasa and Others

背景

生後 6 ヵ月未満の乳児は,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の合併症リスクが高く,また,ワクチン接種に適格ではない.母体の Covid-19 ワクチン接種後,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)に対する抗体が経胎盤的に移行することで,乳児に Covid-19 に対する防御効果が付与されるかもしれない.

方 法

検査陰性者を症例の対照として用いる test-negative デザインを用いて,生後 6 ヵ月未満の乳児の Covid-19 による入院の予防における,母体の妊娠中のワクチン接種の有効性を評価した.2021 年 7 月 1 日~2022 年 3 月 8 日に,米国 22 州の 30 病院で,Covid-19 により入院した乳児(症例)と,Covid-19 を有さず入院した乳児(対照)を組み入れた.B.1.617.2 変異株(デルタ株)の流行期(2021 年 7 月 1 日~2021 年 12 月 18 日)と,B.1.1.529 変異株(オミクロン株)の流行期(2021 年 12 月 19 日~2022 年 3 月 8 日)の,症例と対照における母体の完全接種(mRNA ワクチン 2 回接種)のオッズを比較することで,ワクチンの有効性を推定した.

結 果

症例 537 例(181 例はデルタ株流行期,356 例はオミクロン株流行期に入院;月齢の中央値 2 ヵ月)と,対照 512 例を組み入れ,解析を行った.妊娠中に Covid-19 ワクチンを完全接種した母親から生まれた乳児の割合は,症例群では 16%,対照群では 29%であった.症例群では,113 例(21%)が集中治療を受けた(64 例 [12%] が人工呼吸管理または血管作動薬投与を受けた).また,2 例が Covid-19 により死亡し,いずれも母親は妊娠中にワクチン接種を受けていなかった.乳児の Covid-19 による入院の予防における母体のワクチン接種の有効率は,全体では 52%(95%信頼区間 [CI] 33~65)であり,デルタ株流行期は 80%(95% CI 60~90),オミクロン株流行期は 38%(95% CI 8~58)であった.母体がワクチン接種を受けた時期別の有効率は,妊娠 20 週を過ぎている場合は 69%(95% CI 50~80),妊娠 20 週以内の場合は 38%(95% CI 3~60)であった.

結 論

母体の mRNA ワクチン 2 回接種は,生後 6 ヵ月未満の乳児における,重篤な Covid-19 を含む Covid-19 による入院のリスクの低下と関連していた.(米国疾病対策予防センターから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 109 - 19. )