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July 14, 2022 Vol. 387 No. 2

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KRASG12C 変異陽性非小細胞肺癌に対するアダグラシブ
Adagrasib in Non–Small-Cell Lung Cancer Harboring a KRASG12C Mutation

P.A. Jänne and Others

背景

KRASG12C 阻害薬アダグラシブ(adagrasib)は,KRASG12C に不可逆的かつ選択的に結合し,その不活性状態を維持する.アダグラシブは,第 1・2 相 KRYSTAL-1 試験の第 1・1b 相パートで,臨床活性と許容可能な有害事象プロファイルを示した.

方 法

製品登録にかかわる第 2 相コホートで,白金製剤ベースの化学療法と,抗プログラム細胞死 1(PD-1)抗体療法または抗プログラム細胞死リガンド 1(PD-L1)抗体療法の治療歴のある KRASG12C 変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象として,アダグラシブ(600 mg を 1 日 2 回経口投与)を評価した.主要エンドポイントは,独立中央判定委員会が盲検下で評価した客観的奏効とした.副次的エンドポイントは,奏効期間,無増悪生存,全生存,安全性などとした.

結 果

2021 年 10 月 15 日の時点で,KRASG12C 変異陽性 NSCLC 患者 116 例がアダグラシブの投与を 1 回以上受けていた(追跡期間中央値 12.9 ヵ月).このうち,98.3%に化学療法と免疫療法の両方の治療歴があった.ベースライン時に測定可能病変を有していた 112 例のうち, 48 例(42.9%)で客観的奏効が確認された.奏効期間の中央値は 8.5 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 6.2~13.8),無増悪生存期間の中央値は 6.5 ヵ月(95% CI 4.7~8.4)であった.2022 年 1 月 15 日の時点で(追跡期間中央値 15.6 ヵ月),全生存期間の中央値は 12.6 ヵ月(95% CI 9.2~19.2)であった.治療歴があり神経学的に安定した中枢神経系転移を有する 33 例では,客観的頭蓋内奏効割合は 33.3%(95% CI 18.0~51.8)であった.治療関連有害事象は患者の 97.4%に発現し,内訳はグレード 1 または 2 が 52.6%,グレード 3 以上が 44.8%(グレード 5 の 2 件を含む)であった.治療関連有害事象により,患者の 6.9%で投与が中止された.

結 論

治療歴のある KRASG12C 変異陽性 NSCLC 患者において,アダグラシブは臨床的有効性を示し,新たな安全性シグナルは認められなかった.(ミラティ セラピューティクス社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03785249)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 120 - 31. )