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September 29, 2022 Vol. 387 No. 13

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1 型糖尿病における人工膵臓の多施設共同無作為化試験
Multicenter, Randomized Trial of a Bionic Pancreas in Type 1 Diabetes

Bionic Pancreas Research Group

背景

現在利用可能な半自動インスリン投与システムは,使用開始時に個別化されたインスリンレジメンを入力し,ルーチンの操作として食事の際にカーボカウントに基づくインスリン用量を入力する必要がある.対照的に,人工膵臓は,使用開始時に入力するのは体重のみであり,すべてのインスリン用量の決定と投与は自律的に行われ,食事の際には,カーボカウントを用いずに食事の種類と定性的な食事量を入力する「ミールアナウンスメント」を行う.

方 法

13 週間の多施設共同無作為化試験で,6 歳以上の 1 型糖尿病患者を,インスリンアスパルトまたはインスリンリスプロを用いた人工膵臓治療を受ける群と,標準治療(非盲検下でのリアルタイム持続血糖測定器を用いてインスリンを投与するすべての方法と定義)を受ける群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は 13 週の時点での糖化ヘモグロビン値とした.重要な副次的転帰は,持続血糖測定器で測定した血糖値が 54 mg/dL 未満であった時間の割合とし,この転帰の非劣性マージンは 1 パーセントポイントと事前に規定した.安全性も評価した.

結 果

6~79 歳の 219 例が人工膵臓群,107 例が標準治療群に割り付けられた.糖化ヘモグロビン値は,人工膵臓群では 7.9%から 7.3%に低下し,標準治療群では変化しなかった(両時点で 7.7%)(13 週の時点での補正後の差の平均 -0.5 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -0.6~-0.3,P<0.001).持続血糖測定器で測定した血糖値が 54 mg/dL 未満であった時間の割合には,2 群間で有意差は認められなかった(13 週の時点での補正後の差 0.0 パーセントポイント,95% CI -0.1~0.04,非劣性の P<0.001).重症低血糖は,人工膵臓群で 100 人年あたり 17.7 件,標準治療群で 100 人年あたり 10.8 件発現した(P=0.39).糖尿病性ケトアシドーシスは,いずれの群にも発現しなかった.

結 論

1 型糖尿病の成人と小児を対象とした 13 週間の無作為化試験で,人工膵臓の使用は,標準治療と比較して,糖化ヘモグロビン値の低下が大きいことと関連した.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04200313)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1161 - 72. )