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September 29, 2022 Vol. 387 No. 13

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肺機能が保持されている有症状の喫煙経験者に対する気管支拡張薬
Bronchodilators in Tobacco-Exposed Persons with Symptoms and Preserved Lung Function

M.K. Han and Others

背景

喫煙歴のある人の多くは,スパイロメトリーで気流閉塞が認められないにもかかわらず,臨床的に重要な呼吸器症状を有する.そのような人は,慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬で治療されることが多いが,この治療法を支持するエビデンスは不足している.

方 法

10 箱・年以上の喫煙歴があり,COPD アセスメントテスト(CAT)のスコア(0~40 で,数値が高いほど症状が重いことを示す)が 10 以上と定義した呼吸器症状を有し,スパイロメトリーで肺機能が保持されている(気管支拡張薬投与後の 1 秒量/努力肺活量 [FEV1/FVC] が 0.70 以上,FVC が予測値の 70%以上)人を,インダカテロール(27.5 μg)+グリコピロニウム臭化物(glycopyrrolate,15.6 μg)を 1 日 2 回 12 週間投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,12 週間後にセントジョージ呼吸器質問票(SGRQ)のスコア(0~100 で,数値が高いほど健康状態が不良であることを示す)が 4 ポイント以上減少(すなわち改善)し,治療失敗(長時間作用型吸入気管支拡張薬,グルココルチコイド,抗菌薬のいずれかの投与を必要とする下気道症状の増加と定義)がないこととした.

結 果

535 例が無作為化された.修正 intention-to-treat 集団(471 例)では,治療群の 227 例中 128 例(56.4%)と,プラセボ群の 244 例中 144 例(59.0%)で SGRQ スコアが 4 ポイント以上減少した(差 -2.6 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -11.6~6.3;補正オッズ比 0.91,95% CI 0.60~1.37,P=0.65).予測 FEV1 に対する比率(%FEV1)の変化量の平均は,治療群で 2.48 パーセントポイント(95% CI 1.49~3.47),プラセボ群で -0.09 パーセントポイント(95% CI -1.06~0.89)であり,最大吸気量の変化量の平均は,治療群で 0.12 L(95%CI 0.07~0.18),プラセボ群で 0.02 L(95% CI -0.03~0.08)であった.重篤な有害事象は治療群で 4 件,プラセボ群で 11 件発現したが,治療薬またはプラセボに関連する可能性があると判断されたものはなかった.

結 論

スパイロメトリーで肺機能が保持されている,有症状の喫煙経験者において,吸入気管支拡張薬 2 剤併用療法は,呼吸器症状を減少させなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.RETHINC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02867761)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1173 - 84. )